コスプレイヤーの盗撮

2019-08-22

コスプレイヤーの盗撮

東京都江東区在住のAさんは,近隣でで開かれるイベントに参加していた。
イベントには多くのコスプレイヤーも参加しており,Aさんはコスプレイヤーの撮影を目的に参加していた。
AさんがコスプレイヤーVさんの撮影をしていたところ,Vさんはスカートの丈の短い過激な衣装のコスプレをしていた。
そこで,Aさんは,スカートの中にカメラを差し向けスカートの中を撮影した。
Vさんはスカートの中は撮らないでほしいとAさんに言ったがAさんはそれを無視してスカートの中を撮影した。
そのため,Vさんは近くにいた警備員に通報し,警備員の通報により駆けつけた警視庁城東警察署の警察官によってAさんは盗撮の疑いで現行犯逮捕された。
(フィクションです)

~盗撮~

盗撮というと一般的には電車や駅などでスカートの中を撮影するという事件が多いでしょう。
しかし,実際に盗撮行為を取り締まっている条文には「盗撮」という文言はありません。
これは「盗撮をした者は,何年以下の懲役または~」という法律の場合,「盗撮する」という行為がどのような行為を指すのかが問題となるためであり,条文上ではより詳しい言葉で取り締まっている行為を特定しています。

多くの盗撮行為を取り締まっている各都道府県の迷惑行為防止条例では,多くの場合,条例で定められている場所において,「正当な理由なく,人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような行為」であり,かつ,「通常衣服で隠されている下着又は身体を,写真機その他の機器を用いて撮影」することがいわゆる盗撮とされています(東京都の迷惑防止条例を例に挙げましたが,各都道府県により文言の差異はあります)。

つまり,条例で定められている場所で盗撮となるためには,その撮影が「正当な理由なく,人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような行為」であることが必要です。
そのため,被写体である人物の許可があるような場合には盗撮とはならないとも考えられます。
しかし,たとえ他人が自分の姿を撮影することを許可しているコスプレイヤーであっても,通常スカートの中の撮影は許可していないといえます。
加えて,Vさんはスカートの中を撮らないように言っていますので,Vさんとしては「正当な理由なく,人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような行為」でスカートの中を撮影されたと感じるでしょう。
そのため,Aさんの行為は盗撮,すなわち迷惑行為防止条例違反となる可能性があるということになります。
罰則は都道府県によって異なりますが,東京都の場合,1年以下の懲役または100万円以下の罰金となっています。

~盗撮事件の弁護活動~

今回のケースでは,Aさんは現行犯逮捕されていますが,勾留請求されなければ逮捕後長期間の身体拘束を受けることはありません。
現行犯逮捕された盗撮事件の場合には,身元引受人と呼んだうえで勾留請求をされずに釈放となるケースもあります。
そうした場合,警察で取り調べを受け,翌日に検察官に送致され釈放されるという流れになると考えられます。
しかし,釈放されたからといって無罪というわけではなく,後日,在宅で起訴されて罰金刑となったり,事件によっては正式に起訴されて裁判になることも考えられます。

ですが,盗撮事件の場合,被害者の方と示談が成立している場合には前科がなければ起訴猶予となることも多いです。
そのため,釈放された場合の弁護活動のメインは被害者の方との示談交渉となります。
示談交渉をするには被害者の方と連絡を取る必要がありますが,連絡先などはわからないことが通常でしょう。
依頼された弁護士であれば,検察官から被害者の承諾のもと,連絡先を取り次いで頂ける事も少なくありません。
連絡先を取り次いで貰えれば示談交渉ができるため,釈放されたからといって事件を放置するのではなく,弁護士に相談して示談交渉のための活動を依頼することが大切です。

在宅事件の場合,国選弁護人が選任できるのは検察官によって起訴された後になります。
そのため,示談交渉をし,起訴されないためには私選の弁護人を選任する必要があります。
盗撮に限らず刑事事件で示談交渉による不起訴をお考えの方はまずは刑事事件に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。

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