性行為を盗撮して現行犯逮捕

2020-02-23

性行為を盗撮して現行犯逮捕

今回は、アパートの外から隣人の性行為を盗撮してしまった事件の弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~
Aさんは東京都足立区内のアパートに住んでいます。
時々、隣室から性行為の物音が聞こえてくるので、その様子を撮影しようと思い、外から隣室における性行為の様子を撮影していたところ、パトロール中の東京都綾瀬警察署の警察官から職務質問を受けました。
Aさんは「自室を外から撮影していた」などと弁解しましたが、あまりにも不自然な弁解であったため、かえって警察官の疑念を深めてしまいました。
カメラのデータを見せるよう求められたので、しぶしぶ警察官にこれを見せると、Aさんの隣室で男女が衣服を付けずに性行為をしている様子が録画されていました。
Aさんは東京都迷惑行為防止条例違反の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~東京都迷惑行為防止条例について解説~

Aさんは、東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例、通称「迷惑行為防止条例」に違反した疑いで現行犯逮捕されてしまいました。

条文を見てみましょう。

東京都迷惑行為防止条例
第5条1項
何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
一 省略
二 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ 省略
三 省略

Aさんがカメラを用いて、隣室において衣服を付けずに性行為をしている男女の様子を撮影した行為が、第5条1項2号イに違反する可能性があると考えられます。

上記規定に違反したとして有罪判決を受ける場合、盗撮の常習者は1年以下の懲役または100万円以下の罰金に、常習者の場合は2年以下の懲役または100万円以下の罰金処せられます(同条例第8条2項1号、同条7項)。

仮にAさんが盗撮を繰り返していたとしても、警察に発覚したのが初めてであれば、初犯として常習者の扱いになる可能性も十分考えられますが、前科がある場合には常習者として処罰される可能性が上がるでしょう。

~今後の刑事手続の流れ~

取調べでは余罪についても尋ねられるでしょう。
Aさんの自宅が捜索される可能性もあります。
撮影データなど、余罪を示す証拠が押収されれば、その件でも追及されるでしょう。

今回のケースの事件は、刑の重さとしては重大な事件とはいえませんが、被害者がAさんの隣人で鉢合わせる可能性も高いということもあり、適切な弁護活動を行わなければ、勾留、またはその延長がなされるなど、身体拘束が長引く可能性が十分予想されます。

このような場合は、引越しをしたり、Aさんの家族など責任をもってAさんを監督する身元引受人を用意することにより、釈放される可能性を高めることができます。
身元引受人を用意できる場合は、その旨を記載した書面を弁護士に作成してもらい、捜査機関などに提出することになります。

また、被害者と示談をすることも重要です。
ただ、性犯罪などの被害者は、加害者と直接交渉することを嫌うケースも多かったり、示談金額や示談書の文言などわからないことも多いと思いますので、弁護士を立てて行うことをおすすめします。

示談が成立すれば、当事者間で事件が解決したものとして釈放される可能性が高まります。
また、検察官がAさんにつき、不起訴処分を行う可能性も高めることができます。

被害者と示談を成立させることは、そのまま身柄解放活動にもなりえますし、より有利な処分を獲得するための準備ということもできるのです。

弁護士からアドバイスを受け、事件解決を目指していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が盗撮事件を起こして逮捕されてしまい、お困りの方はぜひご相談ください。

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