【事例解説】学祭でダンス中の女子大生を撮影し逮捕(後編)
学祭でダンスサークルに所属する女子大生の下半身を撮影したとして自称カメラマンの男性が逮捕された事件について、性的姿態等撮影罪と迷惑行為防止条例違反が成立するかについて前編・中編・後編に分けて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
このページの目次
・事件概要
福岡県内の大学で開かれた学祭で、ダンスサークルによるステージ中に、踊っている女子大生の下半身を撮影したとして、自称カメラマンの男性が、福岡県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されました。
福岡県博多警察署によると、男が福岡県内の大学の学祭のステージで踊る女子大生の下半身をビデオカメラを使って撮影していたところ、それに気づいた運営スタッフが警察に通報しました。
取調べに対し、男は、「下半身を撮影したのは確かだけど、みんなに見えている服の上からだから別に問題ないと思っていた」と供述しています。
(フィクションです)
・盗撮行為をした場合の刑の重さ
盗撮行為により性的姿態等撮影罪が成立した場合の法定刑は、3年以下の拘禁刑(施行までは懲役刑)又は300万円以下の罰金となります。
福岡県迷惑行為防止条例の法定刑は、常習ではない場合は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金ですので、性的姿態等撮影罪の創設により盗撮行為は厳罰化されたと言えます。
・できるだけ早く弁護士に相談を
性的姿態等撮影罪の容疑で逮捕された場合、いち早く弁護士に接見に来てもらい身体拘束からの解放に向けた活動をしてもらうことをお勧めします。
具体的には、勾留請求に対する意見書の提出や勾留決定に対する準抗告、勾留取消請求などの活動をすることができます。
また、被害者との間で示談を成立させることができるかどうかも重要となります。
仮に、被害者との間で示談を成立させることができれば、釈放される可能性が高まるだけなく、最終的に不起訴処分を獲得できる可能性もあります。
不起訴処分となれば、前科がつくこともありませんから、なるべく早く示談交渉をスタートさせて、検察官が起訴するかどうかの決断をする前に示談を成立させることができるかが重要です。
示談交渉は加害者自ら行うことは得策ではありません。
通常、被害者は加害者と関わりたくないと思っていますから、弁護士に依頼して示談交渉を一任されることをおすすめします。