【事例解説】電車内で女性の脚を服の上から盗撮して逮捕
電車内で女性の脚を服の上から盗撮して逮捕された事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
このページの目次
事例紹介
会社員のAさんは、帰宅途中の電車内で自分の前に座っていた女性Vさんの脚を服の上から盗撮しました。
Aさんの様子を不審に思った乗客のひとりがAさんに声をかけたところ、Aさんは別の車両へと逃げ出そうとしたので、Aさんは周囲の乗客に取り押さえられました。
次の停車駅で降車させられたAさんは、観念してVさんの脚を盗撮していたことを話したところ、Aさんは通報により駆け付けた警察官に逮捕されました。
(この事例はフィクションです)
服の上から盗撮しても罪になる?
盗撮行為については、今年の夏から新しく施行されている性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(性的姿態撮影等処罰法)に規定されている性的姿態等撮影罪として立件されることが多くなってきています。
この性的姿態等撮影罪として立件するためには「性的姿態等」(性的姿態撮影等処罰法2条1項1号柱書)を盗撮した場合でなければなりませんが、「性的姿態等」とは、①性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部といった人の性的な部位、又は②人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分のいずれかでなければなりません。
そうすると、事例のAさんのように服の上から女性の脚を盗撮したという場合は、「性的姿態等」を盗撮したというわけではありませんので、性的姿態等撮影罪には該当しない可能性が高いと考えられます。
ただ、性的姿態等撮影罪に該当しないからといって盗撮行為が全く罪に問われないわけではありません。
服の上からの盗撮行為については、各都道府県が定める迷惑行為防止条例の中に規定されている「卑わいな言動」として処罰の対象になる可能性があります。
例えば、東京都迷惑行為防止条例5条1項では
「何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。」
と規定し、「次に掲げるもの」として同条3号において、
「前2号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。」
と規定しています。
そのため、たとえ性的姿態等撮影罪にいう「性的姿態」に該当しない服の上からの盗撮行為でも、その盗撮行為が、被害者の方に恥ずかしい思いをさせて、不安を覚えさせるような盗撮行為である場合には「卑わいな言動」として刑事罰を受ける可能性があることになります。
仮に盗撮行為が、東京都迷惑行為防止条例5条1項3号における「卑わいな言動」に該当した場合、同条例8条1項2号によって6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。
盗撮事件でご家族が逮捕されたら
ご家族が盗撮事件で警察に逮捕されたらいち早く弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
弁護士に初回接見に行ってもらうことで、事件の概要や今後の流れ、事件の見通しがどのようなものになるかといったことについて弁護士からアドバイスを貰うことができます。
そして、この初回接見をきっかけに弁護士に正式に弁護活動を依頼することで、逮捕されたご本人の早期釈放や、事件の早期解決といった可能性を高めることできます。