駅の盗撮カメラ設置事件で略式手続を目指す
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駅の盗撮カメラ設置事件で略式手続を目指す
駅の盗撮カメラ設置事件と略式手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ケース~
Aさんは、神奈川県川崎市中原区内の駅の女子トイレに小型カメラを仕掛け、トイレの利用者の姿態を盗撮しようと考えました。
カメラを仕掛けた数日後、トイレの利用者がカメラに気付いたので、駅員に報告しました。
Aさんには、盗撮の前歴があります。
そのためか、被疑者の特定が早く、神奈川県中原警察署からAさんのもとに「お尋ねしたいことがあるので、神奈川県中原警察署の方へ出頭してください」と連絡がありました。
Aさんは、駅に盗撮カメラを設置したことが発覚したのだろうと思い当たり、対応を弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
~神奈川県内の駅で盗撮カメラをしかけると何罪?~
今回のAさんのような態様で神奈川県内において駅構内のトイレに盗撮カメラを仕掛けた場合、神奈川県迷惑行為防止条例違反の罪、建造物侵入罪が成立する可能性が高いと思われます。
神奈川県迷惑行為防止条例第3条2項は、
①何人も、
②人を著しく羞恥させ、若しくは人に不安を覚えさせるような方法で、
③住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服等の全部若しくは一部を着けないでいるような場所にいる人の姿態を見、又は、正当な理由がないのに、衣服等の全部若しくは一部を着けないで当該場所にいる人の姿態を見、若しくはその映像を記録する目的で、写真機等を設置し、若しくは人に向けてはならない
としています。
Aさんのケースの場合、駅の女子トイレ利用者の姿態を撮影する目的でカメラを仕掛けている点につき、上記規定に違反する可能性が高いと思われます。
この行為によって神奈川県迷惑行為防止条例違反として有罪が確定すると、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。
また、盗撮目的で駅のトイレに立ち入った点についても、建造物侵入罪に問われる可能性が高いと思われます(刑法第130条)。
建造物侵入罪の法定刑は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金となっています。
~盗撮カメラ設置事件の出頭前、なにをするべき?~
今回のケースのような盗撮カメラ設置事件に限らず、刑事事件の出頭する前には、あらかじめ弁護士と相談することをおすすめします。
取調べでは何を聞かれるのか、どのように答えたらよいのか、黙秘すべきか、それとも素直に話すべきか…などといったように、悩ましい点が多くあると思います。
弁護士からアドバイスを受けることにより、取調べへの不安を軽減させることができるかもしれません。
また、出頭した後、そのまま逮捕されてしまうのではないか、という不安もあるかと思います。
残念ながら、今回のケースの場合にも、逮捕されてしまう可能性もないとは言い切れません。
弁護士への相談では、なるべく逮捕されないようにするにはどのように供述すればよいのか、という点についても弁護士からアドバイスを受けることができます。
取調べで明らかな嘘を話したり、不合理な否認をするよりは、Aさんの知っていることを素直に供述する方が、罪証隠滅のおそれの程度からみて、逮捕される可能性は低くなると思われます。
ただし、そのように供述していても、逮捕されてしまう場合はあります。
逮捕されてしまった場合のことを踏まえて、「覚悟」を決める必要もあるでしょう。
あらかじめ、逮捕された場合に備えて、相談した弁護士を私選弁護人として選任しておくのも選択肢の一つです。
素早く弁護活動に着手することができるので、より早期に身柄解放を実現できる可能性が高くなります。
~盗撮カメラ設置事件の示談活動~
身柄の早期解放や処分の軽減を目指す弁護活動として、示談交渉があります。
実際に盗撮した場合は撮影された相手と示談しますが、カメラを設置したにとどまる場合や建造物侵入罪に問われている場合は、トイレやその建物の管理者と示談することが考えられます。
~盗撮カメラ設置事件で略式手続を目指す~
今回のケースの盗撮カメラ設置事件について、弁護活動を尽くし、検察官により不起訴処分がなされればよいのですが、Aさんに盗撮の前歴があることを考慮すると、たとえ示談したとしても、起訴される可能性も十分考えられます。
この場合には、略式手続による事件解決を目指すことが考えられます。
略式手続とは、簡易裁判所が、原則として検察官の証拠のみにより、100万円以下の罰金又は科料に相当する事件について略式命令を言い渡す手続です。
略式手続となった場合、正式裁判(公開されている法廷での裁判)によらず、罰金を納付することで迅速に事件を解決することができます。
略式手続では、勾留されている場合には、罰金等を納付することにより釈放され、在宅で事件が進行している場合には、そのまま罰金を納付すれば事件が終了します。
ただし、略式手続では、検察官の証拠のみにより判断されることから、Aさんが何らかの異議を申し立てるチャンスがほぼありません。
そのため、略式手続に応じるかどうか、という点は、重要なポイントとなります。
弁護士と略式手続のメリットとデメリットをよく相談した上で、同意書面にサインすることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
盗撮事件や盗撮カメラ設置事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。