学習塾で生徒を盗撮し取調べ
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学習塾で生徒を盗撮し取調べ
~ケース~
Aさんは大阪府箕面市内の自宅で一人暮らしをし、自宅の一室で学習塾を経営しています。
ある日、Aさんは女子生徒のスカートの中を盗撮しようと考え、教壇のコンセントにテーブルタップ型のカメラを設置しました。
授業中、女子生徒Vが板書する機会があったので、後ほどカメラを確認すると、Vの下着が写っていました。
ある日、生徒がカメラのレンズに気付き、親に話すと、女子生徒の親は大阪府箕面警察署に被害届を出しました。
Aさんは大阪府箕面警察署から呼び出され、取調べを受ける予定です。
(フィクションです)
~室内で盗撮行為をすると何罪?~
室内での盗撮行為については、①各都道府県が定める迷惑防止条例違反の罪の成否、②住居(建造物)侵入の罪、③軽犯罪法違反の罪の成否が検討されます。
(大阪府迷惑防止条例違反の罪について)
以前は、盗撮を行った場所につき「公共の乗物」「公共の場所」などといった制限がありました。
これら以外の場所で盗撮を行った場合、既に説明した軽犯罪法違反の罪、住居侵入その他の罪に問われることはあっても、迷惑防止条例違反の罪に問われることはありませんでした。
ケースの学習塾の教室は「公共の場所」にあたるでしょうか。
「公共の場所」とは、不特定かつ多数が自由に利用し、又は出入りすることができる場所であることを要します。
学習塾の教室は、通常、契約をした生徒のみが利用し、あるいは出入りする場所でありますから、「不特定」かつ多数が利用し、あるいは出入りできる場所と認められる可能性は極めて低いと考えられます。
近年、上記の問題に対処するために、さまざまな都道府県で迷惑防止条例を改正しています。
大阪府迷惑防止条例も既に改正が行われ、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、教室、事務所、タクシーその他の不特定又は多数の者が出入りし、又は利用するような場所又は乗物(公共の場所又は公共の乗物を除く)における衣服等で覆われている内側の人の身体又は下着を見、又は撮影することが禁止されています(同条例第6条3項)。
これに違反し、有罪が確定すれば、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。
また、上記の撮影の目的で、人に写真機を向け、又は設置することも禁じられています(この場合の法定刑は6月以下の懲役又は50万円以下の罰金)。
ケースに照らして考えると、教壇にテーブルタップ型カメラを設置した時点で、既に迷惑防止条例違反の罪に問われうる、ということです。
(住居侵入罪について)
住居侵入罪は、正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入する犯罪です(刑法第130条前段)。
ここにいう「侵入」とは、「住居権者の意思に反する立ち入り」を意味します。
盗撮目的で会社の建物、銭湯などに立ち入ると建造物侵入罪が成立しえますが、今回のケースにおいては、盗撮を行った場所がAさんの自宅であるため、住居権者はAさんということになります。
したがって、Aさんが外でテーブルタップ型カメラを用意し、盗撮目的で自宅に入ったとしても、「侵入」に該当することはありません。
Aさんには、住居侵入罪は成立しない可能性が高いです。
(軽犯罪法違反の罪について)
軽犯罪法第1条23号は、正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見る行為を禁止しています。
これに違反し、有罪が確定すると拘留又は科料に処せられます。
上記の迷惑防止条例違反の罪、住居(建造物)侵入の罪が成立しない場合には、軽犯罪法違反の罪の成否が検討されます
ケースの盗撮行為が行われたのは学習塾の教室として使用しているとはいえ自宅の一室ですから、「人の住居」には該当する可能性があります。
そのため、Aさんの行為が軽犯罪法違反の罪を構成する可能性があります。
(そのほかの犯罪について)
なお,今回の盗撮では,学習塾の生徒を盗撮していることから,盗撮画像が「児童ポルノ」に該当し,児童ポルノ禁止法違反となる可能性もあることに注意が必要です。
~警察から呼び出しを受けたら、まずは弁護士と相談~
取調べでは、犯行に至った経緯、犯行の態様、写真はどうしたか、などについて厳しく質問されると思います。
また、盗撮事件では、余罪についても厳しく調べられるでしょう。
いきなり密室である取調室に招かれ、取調官と向かい合い、適切な対応をするのは困難かと思います。
警察に呼び出され、お困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回無料相談をおすすめします。
刑事事件に熟練した弁護士が取調べの対応方法、今後の手続き、処分の見込み、今後はどうすればよいのかといった点につき、助言させていただきます。
相談予約は24時間対応しており、いつおかけいただいても構いません。
是非、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお問い合わせください。
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