【事例解説】国内線の飛行機内における盗撮事件で現行犯逮捕
国内線の飛行機内でキャビンアテンダントを盗撮した事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
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事例紹介
Aさんは、北海道から福岡に向かうために、新千歳空港から飛び立って福岡空港へ到着する予定の飛行機に搭乗しました。
Aさんは、機内でキャビンアテンダントであるⅤさんが接客対応に集中している隙を狙って、Ⅴさんのスカートの下からスマートフォンを差し入れて、Vさんの下着を盗撮しました。
AさんがVさんを盗撮している姿を目撃した他のキャビンアテンダントは、クルー全員で相談して、福岡空港到着後にAさんだけを機内に残し、Aさんはそのまま現場に駆け付けた警察官に性的姿態等撮影罪の疑いで現行犯逮捕されました。
(この事例はフィクションです)
国内線の飛行機内での盗撮事件
Aさんのようにスカートの中にスマートフォンを差し入れて下着をひそかに撮影する行為は、性的姿態撮影等処罰法(正式には「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」と言います)2条1項1号イに規定されている性的姿態等撮影罪になる可能性が高いです。
この性的姿態等撮影罪については今年の夏から新しく創設されて適用されている犯罪になり、実際に今年の夏ごろから「性的姿態等撮影罪の疑いで逮捕された」という報道を目にすることが多くなってきていると思います。
この性的姿態等撮影罪が創設される前は、盗撮行為は各都道府県が定める迷惑防止条例違反という形で立件されていました。
迷惑防止条例については、あくまでその都道府県の中で適用される条例になりますので、盗撮行為がどこの都道府県でなされたものが分からないと、どの都道府県の迷惑行為防止条例を適用すれば良いかの判断がつかないという事態になります。
そのため、事例のように飛行中の機内で盗撮行為をした場合、飛行機が上空を高速で移動するため、盗撮行為がどこの都道府県で行われたものが分からず、盗撮行為を立件することが非常に難しいという事情がありました。
しかし、現在では、先程も説明した性的姿態等撮影罪が創設されています。
性的姿態等撮影罪が規定されている性的姿態撮影等処罰法は、各都道府県が規定する条例と異なって、日本において等しく適用される法律ですので、盗撮行為がどこの都道府県でなされたものかが明らかでなくても、立件されることになります。
性的姿態等撮影罪の法定刑は3年以下の拘禁形又は300万円以下の罰金刑となっています。
性的姿態等撮影罪の疑いで警察に逮捕されたら
刑事事件はスピードが命ですので、ご家族が性的姿態等撮影罪の疑いで警察に逮捕されたら、弁護士に依頼していち早く初回接見に行ってもらうことをお勧めします。