【報道解説】盗撮のために建物を破壊して建造物損壊で逮捕
【報道解説】盗撮のために建物を破壊して建造物損壊で逮捕
アパートの隣の部屋に住む女性の風呂場の天井に盗撮のために、隣の部屋との間にある仕切りを破壊したとして建造物損壊の疑いで逮捕された盗撮事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例紹介】
「東京都内にあるアパートの一室に住むAさんは、自分の隣に住むVさんのことが気になり、Vさんの裸を盗撮しようと考えました。
そこで、Aさんは、自室の風呂場の点検口から屋根裏に上り、隣の部屋にある仕切りを破壊して、Vさんの部屋の風呂場の天井まで移動して、天井に穴を開けて盗撮用のカメラを設置して、Vさんの入浴中の様子を盗撮しました。
Aさんは、その後、自宅に来た警察官に建造物損壊の疑いで逮捕されました。」
(令和5年4月26日にテレ朝NEWSの報道を元に事実を変更したフィクションです)
【隣の部屋の浴室を盗撮する罪】
他人が住む部屋の浴室にカメラを設置して、裸の姿を盗撮する行為は、各都道府県が定める迷惑行為防止条例に違反する可能性が高いです。
事例のように、東京都にあるアパートで隣人の浴室を盗撮する行為は、東京都迷惑行為防止条例5条1項2号イに違反する可能性があります。
東京都迷惑行為防止条例(盗撮)に違反した場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。
【盗撮のため侵入・建物一部破壊の罪】
このように、盗撮行為それ自体が刑事罰の対象になる行為ですが、盗撮行為をするためにアパートの隣の部屋に入る行為も、住居侵入罪あるいは建造物侵入罪(刑法130条前段)として刑事罰の対象になる可能性があります。
仮に、住居侵入罪や建造物侵入罪で起訴されて有罪となってしまうと、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、事例のAさんのように、盗撮するために隣の部屋に入るにあたって、他人の建物の一部を破壊してしまうと刑法260条の建造物損壊に当たる可能性もあります。
モノを壊した場合は、刑法261条の器物損壊罪になるのではないかと思う方がいらっしゃるかもしれませんが、壊したモノが「他人の建造物」である場合には、器物損壊罪ではなく建造物損壊罪が成立することになります。
建造物損壊罪の法定刑は、器物損壊罪の法定刑である3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料よりも重くなっており、5年以下の懲役となっています。
このように建造物損壊罪の法定刑には罰金刑が定められていませんので、器物損壊の事件よりも、事態はより深刻であるとあると言えるでしょう。
【盗撮事件でお困りの方は】
盗撮事件で警察の捜査を受けてお困りの方は、まずは弁護士に相談されることをお勧めします。
一口に盗撮事件と言っても、盗撮を行うために他の犯罪に触れる行為をしている場合も考えられますので、まずは、弁護士に盗撮事件についてしっかりとご相談されることで、ご自身がどのような罪に問われる可能性があるのかといったことや、事件の見通しや、今後の流れはどのようになるのかといったについて、弁護士からアドバイスをもらうことが非常に有益になるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
盗撮事件で警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。