【報道解説】勤務先にカメラを設置し盗撮した疑いで逮捕
勤務先の学校に、カメラを設置し盗撮した疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
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【事例】
愛知県内の高校に勤務する教師の男が、高校の施設内で女性が着替えている様子を盗撮した疑いで逮捕されました。
警察によると男は、勤務先の高校の施設内にカメラを設置し、女性が着替えている様子を盗撮した疑いがもたれており、警察の調べに対して男は「一人でやったことに間違いない」と話し、容疑を認めているということです。
警察は男のスマートフォンなどを押収して、余罪や動機を調べています。
(参照事例https://news.yahoo.co.jp/articles/4d81965faff5015410d8b36091e620f412389e2a)
【性的姿態等撮影罪とは】
性的姿態等撮影罪とは、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」の第2条1項に定められています。刑罰として「三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金」を負う可能性があります。
着替えの様子の盗撮行為は同法第2条1項1号イに定められる「人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分」を撮影していると評価できるため、今回の事例では、性的姿態等撮影罪に問われることになるでしょう。
【教員免許を持つ者に前科が付いてしまうと】
教員免許についてを定める教育職員免許法第10条1項および第5条1項3号は、「禁錮以上の刑に処せられた者」は、教員免許が失効し、また再度の教員免許取得ができなくなる旨を定めています。そのため、仮に教師が性的姿態等撮影罪で起訴されて禁錮以上の前科が付いてしまうと、教師として学校で働き続けることが困難になります。
【性的姿態等撮影罪の前科が付くことを回避するには】
性的姿態等撮影罪の前科を付けたくない、教員免許の失効を避けたいとお考えの方は、まずはいち早く弁護士に盗撮事件について相談して、事件の見通しや今後の対応といったことについてアドバイスを貰われることをお勧めします。
盗撮事件を起こしてしまった場合、被害者方との示談交渉を通して示談を締結することが、最終的な処分の軽減を図る上で重要になります。
被害者方の連絡先を知っているという場合、盗撮事件を起こした本人が直接、被害者方との示談交渉を行うというのも不可能ではありません。
しかし、被害者方からすれば、直接盗撮事件の犯人と交渉を行うのは避けたいと思うのが通常であると考えられます。
また、充分な法的知識を持たない当事者同士による示談の場合、示談の条件等に不備がある場合も少なくなく、示談締結後になって再度トラブルが発生するといったことも想定されます。
そのため、性的姿態等撮影罪の前科がつくことを避けるために被害者の方との示談をしたいと考えている方は、法律の専門家である弁護士に示談交渉を依頼して、しっかりとした条件で示談を締結されることをお勧めします。