高校に侵入、女子更衣室を盗撮し逮捕
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高校に侵入、女子更衣室を盗撮し逮捕
~ケース~
Aさんは深夜、神戸市須磨区内の高校に侵入し、女子更衣室にカメラを設置しました。
翌日の日が暮れた放課後に再度学校に侵入し、カメラを回収することができましたが、廊下を歩いている際、不審に思った学校職員に声をかけられたところ、いきなり逃走しました。
学校の職員は兵庫県須磨警察署に通報し、駆け付けた警察官が階段の陰に隠れていたAさんを盗撮事件の被疑者として逮捕しました。
(フィクションです)
~学校で女子更衣室を盗撮すると、どのような犯罪が成立するか?~
(迷惑防止条例違反の罪)
盗撮を行うと、まず検討されるのが各都道府県の制定する迷惑防止条例違反の罪です。
各都道府県によって条文の文言、要件、法定刑にバラつきがありますが、①正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であって、②住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所、又は公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物において、③人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること(東京都の場合)を禁ずるといった規定があれば、学校女子更衣室における盗撮も迷惑防止条例違反の罪を構成しうることになります。
かつての迷惑防止条例は、公共の場所、公共の乗物、公衆が利用することができる更衣室における盗撮のみを規制していました。
学校の更衣室は相当多数の者が利用するため「公衆が利用することができる更衣室」に該当するようにも感じられますが、学校の更衣室は「当該学校の生徒」という特定の人物が利用することが前提となっているのが通常と考えられるので、「公衆が利用することができる更衣室」に該当しない可能性が高いと思われます。
そのような問題を踏まえて上記①~③のような規定に改正する自治体が現れています。
もっとも、全ての自治体でこのような改正が行われているわけではありません。
その場合は、迷惑防止条例違反の罪が成立しない可能性があり、次に解説する軽犯罪法違反の罪の成否が検討されます。
(軽犯罪法違反の罪)
軽犯罪法第1条23号は、「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見」る行為を禁止しており、これに違反し、有罪が確定すれば拘留又は科料に処せられます。
なお、目視するだけでなく、カメラやビデオで盗撮した場合も「のぞき見た」に該当します(福岡高裁平成27年4月15日判決)。
(児童ポルノ製造罪)
児童買春・児童ポルノ処罰法第7条5項は、「ひそかに第2条第3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造」する行為につき、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金を予定しています。
※児童買春・児童ポルノ処罰法第2条第3項各号を以下抜粋
写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
盗撮に用いたカメラに、被写体の児童の下着姿などが写っていた場合、上記3号の児童ポルノを製造した嫌疑をかけられる可能性があります。
(建造物侵入罪)
盗撮目的で高校に侵入した場合は、建造物侵入の罪に問われる可能性があります。
建造物侵入罪の法定刑は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金となります。
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