コンビニエンスストアに盗撮カメラを設置 自首すべきか?
今回は、コンビニエンスストアに盗撮カメラを設置した被疑者が、自首をすべきか否かにつき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
Aさんは、兵庫県内のコンビニエンスストア女子トイレに盗撮カメラを設置し、女子トイレ利用者の姿態を撮影しようとしました。
カメラを設置してから数時間後、カメラを回収しにコンビニエンスストアへ向かったところ、数人の警察官が現場を調べており、怖くなったAさんは現場から逃亡しました。
逃亡後、Aさんは自宅に戻りましたが、コンビニエンスストアのカメラに自身が写っているだろう、すぐにでも逮捕されてしまうのではないかと不安にかられています。
Aさんはどうするべきか、刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。(フィクションです)
~Aさんに成立する犯罪は?~
(兵庫県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反の罪)
兵庫県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第3条の2第3項は、
①「何人も」、
②「正当な理由がないのに」、
③「浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない」
としています。
この規定に違反し、有罪判決を受けると「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処せられます(兵庫県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第15条1項)。
コンビニエンスストアの女子トイレは明らかに上記「便所」に該当します。
トイレ利用者を撮影する目的で盗撮カメラを設置すれば、上記規定に違反する可能性が高いでしょう。
(建造物侵入の罪)
正当な理由がないのに、人の看守する建造物に侵入する行為は建造物侵入罪を構成します(
刑法第130条前段)。
Aさんはあらかじめ盗撮カメラを用意し、女子トイレにこれを設置する目的でコンビニエンスストアに立ち入っていますが、通常、コンビニエンスストアの管理権者は女子トイレに盗撮カメラを設置する目的で他人が立ち入ることを容認していないと考えられるので、Aさんの立入りは「侵入」に該当する可能性が高いでしょう。
上記の事実関係によれば、Aさんに「兵庫県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反の罪」、「建造物侵入罪」が成立する可能性が高いと考えられます。
~自首・出頭のメリット及びデメリット~
Aさんは犯行後、強い不安にかられ弁護士に相談することにしました。
当然ですが、弁護士はAさんの逃亡を援助したり、証拠の隠滅を手伝うことはできません。
このような場合は、自首・出頭することをすすめられる場合が多いかと思われます。
(自首・出頭をするメリット)
自首が成立すれば、有罪判決を受ける場合において、刑の減軽を受けられる可能性があります(刑法第42条1項。ただし自首の要件を満たさず、「出頭」に留まった場合はこの限りではありません)。
さらに、自ら犯罪事実を捜査機関に申告したことが評価され、逮捕されずに済む場合も考えられます(この点については、出頭に留まった場合も同様です)。
弁護士に事件処理を依頼した上で自首・出頭すれば、身元引受人を用意し、その上申書などを作成してもらった上で行動できるので、逮捕される可能性をより低減させることができるかもしれません。
(自首・出頭をするデメリット)
ただし、捜査機関に自身の犯罪事実を申告する以上、被疑者となってしまう可能性が絶大です。
また、絶対に逮捕されないというわけではないので、自首・出頭後、そのまま逮捕されてしまうこともありえます。
そのため、自首・出頭を行う場合には、逮捕されてしまう事態についても覚悟しなければなりません。
もっとも、弁護士を選任した上で自首・出頭すれば、逮捕されてしまった場合であっても、すぐに身柄解放活動や示談交渉に着手できます。
まずは刑事事件に詳しい弁護士と相談し、今後の行動についてアドバイスを受けることが大切です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
コンビニエンスストアの女子トイレに盗撮カメラを設置する事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。