私的空間にいる人に対する盗撮
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私的空間にいる人に対する盗撮
Aさんは、Aさん他4名の男女の友人とともに、福岡市早良区にある友人女性Vさん宅に招かれて、夕食を共にしました。
Aさんは、以前からVさんに好意を抱いていましたが、その思いを伝えれずにいました。
しかし、AさんはVさんに対する好意の気持ちを捨てきれず、Vさんの下着姿や裸姿を盗撮したいと思うようになりました。
そこで、Aさんは、Vさんから自宅に招かれたことを絶好の機会ととらえ、Vさん方をくまなく探索しました。
すると、Aさんは、Vさん方浴室の横に足場となり得る台が置かれており、そこからVさんの浴場を盗撮することができることを知りました。
後日、Aさんは、台に足を乗せ、小型カメラを使ってVさんの裸姿を盗撮していたところ、近所の人に見つかり、110番通報を受け駆け付けた福岡県早良警察署の警察官に福岡県の迷惑行為防止条例違反で逮捕されてしまいました。
Aさんの母親は、盗撮事件に強い弁護士に弁護活動を依頼しました。
(フィクションです)
~盗撮条例の改正~
福岡県では、6月1日から、盗撮行為を禁止する改正福岡県迷惑行為防止条例(以下、改正条例という)が施行されています。
その理由は、スマートフォンの急速な普及や情報技術の発達等により増加した住居の部屋、浴室、ホテルの客室等私的空間にいる、衣服の全部又は一部を着けない状態でいる人を対象とする盗撮行為に対処するためです。
つまり、改正条例施行前では、公衆便所、公衆浴場、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる当該状態にある人を盗撮行為の対象としていたところ、これでは条例で、住居の部屋、浴室、ホテルの客室等私的空間にいる人を対象とする盗撮行為は処罰されず、刑の軽い軽犯罪法(窃視の罪、拘留又は科料)でしか処罰されませんでした。
そこで、私的空間にいる人に対する盗撮行為についても条例で対処できるようにするため、改正条例が施行されたというわけです。
~全国的にみると盗撮条例はどうなっている?~
盗撮行為を禁じる条例は各都道府県単位で定められています。
全国的にみると、すでに私的空間に対応する条例を定めている自治体は、福岡県のほかに北海道、東京都、神奈川県、兵庫県などがありますが、他方、大阪府、京都府などは、依然として、「公衆便所、公衆浴場、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる当該状態にある人の姿態を撮影してはならない」などとして私的空間にいる人に対する盗撮行為には対応できない規定となっているところもあります。
~盗撮事件で想定されるケース~
福岡県では改正条例で「私的空間にいる人」に対する盗撮行為は禁じられましたが、「盗撮行為を行う場所」については、以前として「公共の場所又は公共の乗物」です。
したがって、自室に女性を呼び込み、性交中に、その女性(の裸など)を盗撮したなどという場合は、自室は「公共の場所」「公共の乗物」には当たらないことから改正条例で処罰されることはありません。
しかし、
・敷地内に侵入して住居、浴室にいる人を盗撮した
・病院等で診察室にいる患者を盗撮した
・ホテルの利用客を盗撮した
などという場合は、改正条例を適用される可能性もありますから注意が必要です。
また、たとえ改正条例に当てはまらなかったとしても、刑法の住居侵入罪・建造物侵入罪などほかの犯罪に抵触する可能性もあることにも注意が必要でしょう。
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