【事例解説】歯科医師が盗撮で逮捕
歯科医師が盗撮で逮捕された事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
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事例紹介
歯科医師であるAさんは、駅の上りエスカレーターで前に立っていたVさんのスカートの下にスマートフォンを差し入れて、Vさんのスカート内を盗撮しました。
Aさんの様子を不審に思った周囲の人に取り押さえられたAさんは、そのまま通報によって駆け付けた警察官に性的姿態等撮影罪の疑いで現行犯逮捕されました。
(この事例はフィクションです)
歯科医師が盗撮で逮捕されると歯科医師の資格はどうなる?
駅の上りエスカレーターで被害者の方のスカートの中を盗撮する行為は、性的姿態撮影等処罰法2条1項1号で定められている性的姿態等撮影罪(単に「撮影罪」と略されることもあります)に当たる可能性が高い行為です。
性的姿態等撮影罪の法定刑は3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金刑となっていますので、仮に性的姿態等撮影罪で検察官に起訴されてしますと、この範囲で刑罰が科される可能性があることになります。
事例のAさんの盗撮行為も性的姿態等撮影罪に当たると考えられますが、歯科医師であるAさんに性的姿態等撮影罪の前科が付いてしまうと、歯科医師としての仕事に重大な影響を及ぼすおそれがあります。
というのも、歯科医師法7条1項では、一定の場合に、厚生労働大臣が当該歯科医師に対して、
・戒告
・3年以内の歯科医業の停止
・免許の取消し
の3つから選んで処分することができると規定しています。
この厚生労働大による処分がなされる場合のひとつに、歯科医師法4条3号が規定している「罰金以上の刑に処せられた」場合があります。
そのため、事例のAさんのように歯科医師の立場にある人が、性的姿態等撮影罪で前科が付いて罰金刑になってしまった場合や、執行猶予付きの懲役刑になってしまった場合は、厚生労働大臣による処分の対象になり、歯科医師としての仕事に大きな影響が出てしまう可能性があります。
盗撮で前科を付けたくないとお考えの方は
歯科医師のように性的姿態等撮影罪の前科が付くと仕事に重大な影響が出てしまうという場合には、いち早く弁護士に相談・依頼することをお勧めします。
事例のように性的姿態等撮影罪の疑いで逮捕された場合であっても、逮捕されたからといって、必ず性的姿態等撮影罪の前科が付くという訳ではありません。
検察官が起訴の判断を行う前に、弁護士に依頼して被害者の方と示談を締結することができれば、性的姿態等撮影罪で起訴されることを回避する可能性を高めることになるでしょう。
性的姿態等撮影罪での起訴を回避することができれば、性的姿態等撮影罪の前科が付くことはありませんので、お仕事への影響を最小限に抑えることが期待できます。