【事例解説】盗撮目的で建物に侵入したとして逮捕(前編)
事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
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【事例】
愛知県内に住むAさんは、盗撮用のカメラを仕掛ける目的で、深夜、近所の高校に忍び込みました。
そうしたところ、カメラを仕掛ける前に、偶然見回りをしていた警備員に見つかり、取り押さえられました。
その後、警備員の通報によって駆けつけた警察によりAさんは逮捕されることになりました。
(フィクションです)
【今回の事例で逮捕された場合】
今回の事例では、まず建造物侵入罪に問われる可能性があります。建造物侵入罪は刑法第130条(出典/e-GOV法令検索)に定められており、簡単にいえば、住居や邸宅以外の建造物に所有者の許可や正当な理由なく侵入すると成立する犯罪です。
その刑罰として「三年以下の懲役又は十万円以下の罰金」が定められています。
今回の事例において、Aさんは盗撮用のカメラを設置する目的で高校に侵入していますから、建造物侵入罪が成立することになるでしょう。
また、性的姿態等撮影未遂罪に問われる可能性があります。性的姿態等撮影罪とは、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」の第2条1項に定められており、刑罰として「三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金」が定められています。
また、同条第2項は「前項の罪の未遂は、罰する。」と定めているため、性的姿態等撮影罪には未遂罪も規定されています。
今回の事例においては、Aさんはカメラを設置する意図をもって高校に侵入したものの、実際にカメラを設置するには至っていません。
この点につき、性的姿態等撮影罪の実行行為に着手したか否かは、さらに個別具体的な事情により勘案されることになるでしょう。
そのため、Aさんには性的姿態等撮影未遂罪が成立する余地があります。