民泊での盗撮で取調べ
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民泊での盗撮で取調べ
民泊経営者が小型カメラで利用者を盗撮したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
大阪府東大阪市内で民泊を経営するAさん。
客室や浴室などに小型カメラを設置し、利用者を盗撮していました。
ある日、利用者がカメラを発見し、警察に通報。
Aさんは大阪府枚岡警察署の警察官から取調べを受けました。
今後どうなってしまうのか、Aさんは不安になっています。
(事実をもとにしたフィクションです)
~迷惑行為防止条例違反になる?~
盗撮をした場合によく適用されることがある迷惑行為防止条例。
しかし大阪府の条例は、民泊での盗撮には適用できないでしょう。
現在、大阪府の迷惑行為防止条例では、
①公共の場所又は公共の乗物
②公衆浴場、公衆便所、公衆が利用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所
③教室、事務所、タクシーその他の不特定又は多数の者が出入りし、又は利用するような場所又は乗物
での盗撮を処罰の対象としています。
しかし経営者の自宅等である民泊は、①公共の場所や②公衆浴場などには当たらないでしょう。
また、契約した特定少数の者しか利用しないため、③不特定又は多数の者が出入りしまたは利用するような場所にも当たらないでしょう。
したがって迷惑行為防止条例では処罰されないことになります。
~軽犯罪法や児童ポルノ禁止法では処罰されうる~
大阪府内の民泊での盗撮も、軽犯罪法での処罰は可能です。
軽犯罪法1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
23号 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
しかし、罰則として定められている拘留は1日以上30日未満の身柄拘束、科料は1000円以上1万円未満の金銭徴収です。
迷惑行為防止条例違反の場合には1年以下の懲役または100万円以下の罰金(非常習者の場合)になるのと比べると、軽い処罰しかされません。
ただし、衣服の一部または全部を付けていない状態などを撮影された人が18歳未満の場合には、児童ポルノ禁止法違反となり、3年以下の懲役または300万円以下の罰金になる可能性があります。
条例違反の場合よりも重く処罰されることになります。
今回の事例のAさんの場合、盗撮したのが18歳未満の者がいない場合には軽犯罪法違反に、18歳未満の者がいる場合には軽犯罪法違反に加えて児童ポルノ禁止法違反で処罰される可能性があるということです。
~条例改正の予定~
このように、被害者に18歳未満の者がいない場合には、軽犯罪法での軽い処罰しかできません。
そこで迷惑行為防止条例を改正し、条例での処罰を可能とすることが検討されています。
プライベート空間の盗撮にも適用 迷惑防止条例改正を検討…大阪府警
読売新聞
公共の場所や公衆浴場に限らず、住居・浴場・更衣室・便所など人が通常衣服の全部または一部を着けない状態でいるような場所などをすでに処罰対象にしている都道府県もあり、民泊での盗撮も処罰できます。
いずれ大阪でもこのような改正がされると思われます。
~困ったら弁護士にご相談を~
あなたやご家族が盗撮などの犯罪をした場合、どのような刑事手続が待っているのか、取調べでは何と答えたらいいのか、示談などをして処罰を軽く出来ないかなど、わからないことが多いと思います。
お困りの際は、ぜひ弁護士にご相談いただければと思います。
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