【盗撮事件】盗撮を行う途中で逮捕・邸宅侵入事件
盗撮を行う途中で逮捕されてしまった事件ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例:Aは、V宅に侵入し盗撮カメラを設置する目的で、Vが住むマンションの共用部分に立ち入った。
日頃から近辺をあやしい人物がうろついているとの情報を得ていた、同マンションの管理人は、Aがマンション共用部分に立ち入ったのを監視カメラで確認し、警察に通報した。
警察官は、Aを邸宅侵入の疑いで逮捕した。
Aの家族は、盗撮事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。
~盗撮を行う過程で逮捕~
本件でAは盗撮行為を行うには至っておらず、盗撮を行おうとした途中でマンション管理人に発見され逮捕されるにいたっています。
これは、Aがマンション共用部分に無断で立ち入ったことによるものと考えられます。
この点、刑法130条は、「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する」旨を規定しています。
本条は、典型的には住居侵入罪を規定した条文ですが、建造物侵入罪や邸宅侵入罪等をも規定していることに注意が必要です。
つまり、「住居」のみならず、「建造物」や「邸宅」等に侵入した場合にも同罪が成立するということになります。
刑法130条が規定する「住居」とは、人の起臥寝食に使用する場所をいい、「(人が看守する)邸宅」とは、居住用の建造物で住居以外のものをいいます。
そして、「(人の看守する)建造物」とは、上記「住居」「邸宅」以外の建物を広く含むものとされています。
本件では、盗撮目的をもってマンション共用部分に立ち入っていることから、管理者の意思に反する立ち入りとして、同条の「侵入」行為に当たることは明らかです。
そして、Aはマンションの共用部分に侵入するにとどまっており、「住居」というよりは(マンション管理人という「人が看守」している)「邸宅」への侵入行為を行ったものと考えられます。
したがって、仮に盗撮行為自体を行っていなくても、盗撮を行う目的で、「邸宅」に「侵入」した段階で、刑法130条の罪が成立することになります。
なお、マンション共用部分が「邸宅」といえるかについては、判例(最決平成21年11月30日参照)の立場は必ずしも明らかではありませんが、130条の罪が成立すること自体は判例も認めています。
~盗撮事件における刑事処分~
行為の悪質性が低い場合や前科前歴などがない場合は、起訴猶予(不起訴)となる可能性も十分にあります。
また逮捕後の勾留が認められないこともありうることから、まずは逮捕された早い段階で、迅速に弁護士を呼ぶことが重要です。
なお、刑法130条は上述のように「10万円以下の罰金」と、懲役刑以外に罰金刑を定めています。
したがって、「100万円以下の罰金又は科料」を科し得る事件(刑事訴訟法461条)として略式手続が利用可能です。
検察官が100万円以下の罰金を科すことが相当であると判断すれば、本罪においても略式起訴により早期に刑事手続から解放されるという選択も考えられます。
いずれにせよ、どのように捜査や刑事手続が進行していくかについては、専門知識を有する弁護士に相談することが必須といえます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、盗撮事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
昨今では、スマートフォン等の機器の発達・普及によって、盗撮事件が激増しているといわれています。
そのような時世に伴い、弊所でも多くの盗撮事件に関する相談・依頼を扱っております。
邸宅侵入を含め盗撮事件で逮捕された方のご家族は、364日24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはご連絡ください。