【事例解説】性的姿態等撮影罪の未遂の疑いで検挙
性的姿態等撮影罪の未遂の疑いで警察に検挙された事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
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事例紹介
Aさんは、本屋で立ち読みに夢中になっているVさんの後ろに近付いて、Vさんのスカートの中にスマートフォンを差し入れてVさんの下着の中を撮影しようとしました。
Aさんがスカートの中の下着を盗撮しようとスマートフォンをVさんのスカートの下に近づけようとしたその瞬間、Aさんの様子を不審に思って監視していた店員が、Aさんの腕をつかんで、Aさんの盗撮を未然に防ぎました。
Aさんは、通報によって駆け付けた警察官によって、最寄りの警察署まで連れていかれました。
(この事例はフィクションです)
実際に盗撮に成功していなくても罪に問われる可能性がある
スカートの中の下着を盗撮する行為は、今年の7月から施行されている「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」(性的姿態撮影等処罰法)の2条1項1号イが規定する性的姿態等撮影罪に当たる行為と考えられます。
性的姿態等撮影罪の法定刑は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金となっています(性的姿態撮影等処罰法2条1項柱書)。
事例のAさんは、Vさんのスカートの中の下着を盗撮する前に本屋の店員に腕をつかまれていますので、実際にはVさんのスカートの中の下着を盗撮はしていません。
そのため、Aさんの行為は性的姿態等撮影罪の既遂にはなりません。
しかし、性的姿態撮影等処罰法2条2項では、
「前項の罪の未遂は、罰する。」
と規定して、性的姿態等撮影罪の未遂の場合を処罰の対象にしています。
事例のように盗撮のためにスカートの下にスマートフォンを近づけた場合は、性的姿態等撮影罪の未遂が成立する可能性がありますので、Aさんは性的姿態等撮影罪の未遂として刑罰の対象になり得ると考えられます。
性的姿態等撮影罪の未遂の法定刑は、性的姿態等撮影罪(の既遂)の場合と同じで3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金となっています(ただし、刑法43条によって刑を減軽することができます)。
性的姿態等撮影罪の未遂の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は
性的姿態等撮影罪の未遂の疑いで警察の捜査を受けて、今後について不安を感じられている方は、弁護士に相談して、事件の見通しや今後の流れ、弁護士が弁護活動としてどのような対応をとることができるのかといったことについてアドバイスを貰われることをお勧めします。