【事例解説】学祭でダンス中の女子大生を撮影し逮捕(前編)

2024-03-23

学祭でダンスサークルに所属する女子大生の下半身を撮影したとして自称カメラマンの男性が逮捕された事件について、性的姿態等撮影罪と迷惑行為防止条例違反の成立の有無を前編・中編・後編に分けて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

カメラマン 

・事件概要

福岡県内の大学で開かれた学祭で、ダンスサークルによるステージ中に、踊っている女子大生の下半身撮影したとして、自称カメラマンの男性が、福岡県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されました。
福岡県博多警察署によると、男が福岡県内の大学の学祭のステージで踊る女子大生の下半身ビデオカメラを使って撮影していたところ、それに気づいた運営スタッフが警察に通報しました。
取調べに対し、男は、「自分はプロのカメラマン。今回下半身を撮影したのは確かだけど、みんなに見えている服の上からだから別に問題ないと思っていた」と供述しています。
(フィクションです)

・性的姿態等撮影罪とは

本件で問題となる性的姿態等撮影罪(「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」)は令和5年に施行された比較的新しい法律の犯罪です(出典/e-GOV法令検索)。
従来、盗撮行為は、各都道府県が規定する迷惑行為防止条例違反として微妙に異なる形で処罰されていましたが、上記法律の制定により「性的姿態等撮影罪」(同法2条1項)として、統一的に処罰されることとなりました。

本件では、男はダンスをしている女子大生の下半身をビデオカメラで盗撮行為したようです。では、性的姿態等撮影罪に該当するのでしょうか?

性的姿態等撮影罪は、「性的姿態等」を正当な理由がなくひそかに撮影する行為を、原則として処罰すると定めています。
 この「性的姿態等」の対象として、(1)人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部)、又は(2)人が身に着けている下着通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を覆っている部分、と規定されています(同法2条1項1号イ参照)。

性的姿態等撮影罪が成立する典型例は、人が下着を着替えている様子を盗撮するような場合ですが、本件の盗撮行為はそれとは異なり、学祭で踊るダンスサークルの女子大生の下半身を衣服の上から撮影したにとどまるようですので、「性的姿態等」を撮影したことにはならず、性的姿態等撮影罪は成立しない可能性があります。

もっとも、性的姿態等撮影罪は未遂犯も処罰されますから、本件の男が「性的姿態等」を撮影しようとしていた場合は、未遂犯として処罰される可能性がはあります(同法2条2項)。

今回は、学祭でダンスサークルに所属する女子大生の下半身を撮影した行為について、性的姿態等撮影罪が成立するかについて解説しました。
次回は、この行為が福岡県迷惑行為防止条例違反に該当するかどうかについて解説します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、盗撮事件を含む刑事事件を多数取り扱い、身体拘束からの解放や示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。
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