【事例解説】つきまとっていた女性に対して盗撮①

2024-06-17

つきまとっていた女性に対して盗撮を行った事例について2回に分けて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

隠しカメラ

【事例】

愛知県名古屋市に住む会社員のAさんは通勤電車でたびたび一緒になっていた20代の女性Vさんに一方的な好意を持ち、つきまとい行為をしていました。
そうしたところ、AさんはVさんのことをもっと知りたいという思いに強く駆られ、Vさん宅に忍び込み盗撮用のカメラを仕掛けました。
後日そのカメラを回収しに、再度Vさん宅に忍び込んだところ、帰宅したVさんとその友人と鉢合わせしてしまいました。
Vさんらは警察に通報し、Aさんは現行犯逮捕されることになりました。
(フィクションです)

【今回の事例で逮捕された場合】

今回の事例では、まずストーカー規制法違反に問われる可能性があります。
ストーカー行為」の定義については、ストーカー規制法2条1項および3項(出典/e-GOV法令検索)に規定されており、簡単にいえば、①同一の者に対して、②恋愛感情その他の好意の感情を充足する目的でつきまとい等を、③反復してすることを指します。
またストーカー行為については、ストーカー規制法第13条によって、6月以下の懲役、または50万円以下の罰金が法定刑として定められています。
この点について、Aさんは間違いなく「ストーカー行為」にあたるため、ストーカー規制法違反に問われる可能性が高いといえるでしょう。

次に性的姿態等撮影罪に問われる可能性があります。
性的姿態等撮影罪とは、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」(出典/e-GOV法令検索)の第2条1項に定められており、刑罰として「三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金」が定められています。
今回の盗撮行為では、盗撮した映像の中にVさんの性的な部分が映っていた場合には、同法第2条1項1号イに定められる「人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分」を撮影していると評価できます。
よってその場合には、Aさんは性的姿態等撮影罪に問われることになるでしょう。

また、盗撮事件においては、盗撮行為そのものの他に、盗撮のために施設や誰かの家に立ち入った行為についても建造物侵入罪や住居侵入罪といった犯罪として刑事罰の対象になる場合があります。
今回の事例でも、逮捕された男性は盗撮目的のためにアパートに侵入した行為が住居侵入罪に該当する疑いがあるとして現行犯逮捕されています。
住居侵入罪は刑法130条前段に規定されている、正当な理由なく他人の住居に侵入した際に成立する犯罪で、その刑罰として「三年以下の懲役又は十万円以下の罰金」が定められています。
ここでの「侵入」とは建造物を管理する者の意思に反する立ち入り行為と考えられています。
そのため、当然ながらAさんが盗撮目的でアパートに侵入した行為は刑法130条の定める「侵入」に該当することになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性的姿態等撮影罪を含む刑事事件を多数取り扱い、身体拘束からの解放や示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。
ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
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