【事例解説】陸上競技の女子選手を盗撮したとして逮捕②

2024-07-10

陸上競技の女子選手を盗撮したとして逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

カメラマン 

【事例】

大阪府内に住むAさんは、自らの性的欲求を満たすため、陸上競技のインターハイ予選を行っている会場に行き、女子選手の下半身等を盗撮していました。
そうしたところ、スタンドで不審な行動をとる男がいると大会本部に通報があり、その後大会関係者が、男に事情を聴取した際下半身をアップにした映像など、明らかに競技の様子を記録する目的でない映像があったもののAさんは故意ではないと弁明してその場を去りました。
後日、警察に捕まらないかと不安になったAさんは弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

【アスリートの盗撮被害(続き)】

次に考えられるのが、都道府県における迷惑行為防止条例違反です。
例えば愛知県迷惑行為防止条例第2条の2は「卑わいな行為」の禁止を定めており、またこれに違反した場合の刑罰として、同15条1項により「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」が定められています。
この「卑わいな行為」に、今回の事例の盗撮行為が該当する可能性がありますが、あくまで盗撮行為全体を禁じるのではなく、盗撮行為が「卑わいな行為」に該当する場合にのみ、罪に問うことができるにとどまるため、アスリートへの盗撮が広く処罰対象となるわけではありません

また、建造物侵入罪も考えられます。
建造物侵入罪は刑法第130条(出典/e-GOV法令検索)に定められており、簡単にいえば、住居や邸宅以外の建造物に所有者の許可や正当な理由なく侵入すると成立する犯罪です。
その刑罰として「三年以下の懲役又は十万円以下の罰金」が定められています。
今回の事例では、たしかに陸上競技場には誰でも入ることができますが、大会主催者は盗撮目的での競技場の出入りを許可しているわけではなく、また盗撮行為は、正当な理由と評価できないため、今回の事例のAさんには建造物侵入罪が成立する余地があります。

このアスリートへの盗撮に関しては、今年に入って改正された福岡県性暴力根絶条例において、アスリートへの盗撮が「性暴力」と明記されるなど、さらに法規制が拡大する方向に向かっています。
しかし、このようなアスリートへの盗撮を厳罰化する立法の動きは全国的に見ると、まだまだ活発化しているとはいいがたい現状があります。
よりアスリートの利益が守られるような法制度の整備がなされることが望ましいでしょう。

【具体的な弁護活動】

今回の事例では事件化するかどうか定かではありませんが、十分な予防策を取ることは肝要であるといえます。
具体的には、自首等の対応などを検討することになるでしょう。
また事件化した場合には、被害者方との示談交渉を行い、示談を締結することが、最終的な処分の軽減を図る上で重要になります。
示談交渉に際しては、被害者方と盗撮事件を起こした本人の当事者間で直接に示談交渉を行うことも不可能ではありません。
しかし、被害者方からすれば、直接盗撮事件の犯人と交渉を行うのは避けたいと思うのが通常であると考えられます。また、充分な法的知識を持たない当事者同士による示談の場合、示談の条件等に不備がある場合も少なくなく、示談締結後になって再度トラブルが発生するといったことも想定されます。
そのため、性的姿態等撮影罪の前科がつくことを避けるために被害者の方との示談をしたいと考えている方は、法律の専門家である弁護士に示談交渉を依頼し、示談を締結されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性的姿態等撮影罪を含む刑事事件を多数取り扱い、身体拘束からの解放や示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。
ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣、無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

Copyright(c) 2021 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 All Rights Reserved.