【事例解説】職場のトイレにカメラを仕掛け逮捕(前編)
職場の女子トイレに盗撮用のカメラを仕掛けて逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
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【事例】
大阪府内の病院に看護師として勤める男性のAさんは、職場の女子トイレの個室内に盗撮用のカメラを仕掛けました。
そうしたところ、後日盗撮用のカメラを仕掛けたことが職場に発覚し、Aさんは逮捕されることになりました。
(この事例はフィクションです)
【性的姿態等撮影罪とは】
性的姿態等撮影罪とは、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」の第2条1項に定められており、刑罰として「三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金」が定められています。
今回のAさんが女子トイレの個室内を盗撮した行為は、同法第2条1項1号イ(出典/e-GOV法令検索)に定められる「人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分」を撮影していると評価される可能性があります。
また、同条第2項は「前項の罪の未遂は、罰する。」と定めているため、性的姿態等撮影罪には未遂罪も規定されています。
そのため、Aさんには性的姿態等撮影罪、または性的姿態等撮影未遂罪が成立する余地があります。
【看護師免許を持つ者に前科が付いてしまうと】
看護師免許等について定める保健師看護師助産師法の第9条1号は、「罰金以上の刑に処せられた者」について、免許を与えないことがあることを定めており、また、同法第14条1項3号では、「罰金以上の刑に処せられた者」について、厚生労働大臣が看護師免許の取消しをすることができる旨を定めています。
これは「することができる」と定められていることから、罰金以上の前科が付いた場合でも、看護師免許の取消しがなされない可能性もあります。
しかし、看護師免許を失う可能性も否定できないため、できる限りの予防策を講ずるべきであるといえます。