【事例解説】中学生が校内での盗撮で逮捕(後編)
中学校内で盗撮が行われ逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
この後編では少年事件の流れについて解説します。
このページの目次
事例
中学3年生のAは、学校の女子更衣室や女子トイレにスマホを設置して、盗撮を行っていました。
スマホの存在に気付いた女子が教師に報告し、その後Aは警察に逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
少年事件の流れ
本件では、Aさんが「少年」なので、成人の刑事事件の手続きとは異なる部分があります。ここでいう「少年」とは、「犯罪少年」のことで、14歳以上20歳未満の犯罪を行った者のことです。
警察や検察による捜査の手続きについては基本的に成人事件と変わることがありませんが、少年事件の大きな違いは、検察庁は、事件性がないと判断した場合でない限り、全ての事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。在宅事件の場合は証拠書類だけを、逮捕されている事件の場合は、少年及び証拠書類を家庭裁判所に送致します。
そうして、家庭裁判所が、少年の知能をテストしたり、心理テストをしたりしたうえで、少年の処遇を決定します。少年が家庭にいるままにこの調査が行われることもありますが、少年鑑別所に入ることが多いです。鑑別所に入ると、最大で8週間、通常のケースではだいたい4週間ほど拘束されてしまうことになります。
家庭裁判所の決定としては以下の種類があります。
・犯罪がないと判断されたとき→不処分になります。
・犯罪がありと判断され、審判時に20歳未満であり、かつ、「保護処分」が適当とされた場合。この処分は以下の3種類です。
①保護観察処分:犯罪が軽微で、家庭環境もいい場合になされることが多いです。この場合、少年は家庭に帰ります。ただし、保護観察官に定期的に報告などが必要です。
②少年院送致:こちらは、重大な事件や、家庭環境がよくない場合です。少年院に入る期間は通常は一年間ほどで、その間、外に出ることもできません。刑務所とは違い、刑罰ではなく教育的措置なので、学科教育や、被害者の気持ちを想像させるなどのプログラムを受けることになります。
③児童自立支援施設送致:このケースはあまり多くはありません。家庭環境が良くない場合等に行われることがあります。社会復帰を目指していろいろな教育やケアなどが行われます。少年院と違い、外出ができるなどのある程度の自由が認められています。
・重大な事件だと判断されたとき→検察官に逆送され、成人事件と同じように起訴されます。こちらは教育的措置である保護処分とは違い、刑罰なので、裁判の結果犯罪があるとされれば、拘禁や罰金刑などが科されますし、前科もついてしまいます。
できるだけ早く弁護士のご相談を
この後編では、一般的な少年事件の手続きの流れを解説させていただきました。
少年事件の場合、検察官による勾留期間(最大20日間)に加え、少年鑑別所に入ることが多く(通常4週間ほど)、成人の事件よりも身柄拘束の期間が長くなりやすいという特徴があります。また、少年が鑑別所に入ることになるかどうかは、弁護士の力量によって結果が左右されやすいとも言えます。
ですから、お子さんになるべく早く家庭に戻ってきてほしい方や、処分を少しでも軽くしたい方は、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
国選弁護なども選択できますが、国選弁護の場合、捜査段階と、家庭裁判所に送致されたあとの段階で、弁護活動が切断されてしまうおそれがあります。
刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件の経験も豊富な弁護士が、捜査の段階から家庭裁判所に送致されたあとの段階まで、一貫した弁護活動を行うことができます。被疑者と弁護士の信頼関係がより重要になる少年事件ですから、できるだけ早い段階から接見などの弁護活動を行うことも有益です。