盗撮事件・のぞき事件で前科を避けたい

1 前科とは

前科について、厳格な定義はありませんが、日常用語でいう「前科」と「法律上の前科」という2つの意味で用いられることがあります。

 

(1)日常用語でいう「前科」

日常用語でいう「前科」とは、裁判で罰金以上の刑に処せられる有罪判決を受けたことという意味で一般的に用いられています。

そして、罰金以上の刑に処せられると、前科調書に記載されます。検察庁が管理する前科調書には、過去に有罪判決を受けたという歴史的事実とし、本人が死亡するまで名前が残ることとなります。

また前科の有無は、量刑にも影響し、同じ犯罪でも初犯の場合より2回目以降の場合の方が刑は重くなる傾向にあります。
もっとも、前科調書については、一般の方が見ることはできません。また、前科がついたとしても戸籍や住民票、住民基本台帳などに記載されることはありません。

 

(2)「法律上の前科」

これに対し、「法律上の前科」というものもあります。

たとえば執行猶予付有罪判決を受けた場合、定められた執行猶予期間を無事に過ごすことができれば懲役刑の言い渡しの効力は失います(刑法27条)。したがって、有罪判決を受けたという法律上の前科はなくなります。

また実際に刑務所に服役した場合でも、刑法の規定による刑期の終了から10年間、罰金以上の刑に処せられないで過ごすことができれば、刑の言い渡しが効力を失うので前科はなくなります。

その結果、執行猶予の欠格事由、または一定の職業上の欠格事由としての前科には当たらないこととなります。そのため、改めて執行猶予がつけられることもあります。

なお、検察庁は、罰金以外の有罪判決が確定した場合、犯罪者の戸籍のある地方自治体に既決犯罪通知書を送付し、その自治体で犯罪人名簿が作成されます。そして、犯罪人名簿の記載については、法律上の前科と同様に、刑の言い渡しの効力が消滅すれば記載が削除されることとなります。

犯罪人名簿については、禁固刑以上に処せられた場合等、各種選挙権や被選挙権を失うため、基本的にその管理のためなどに用いられているものです。

 

2 前科による不利益

前科がつくことによって、法律上の一定の不利益、日常生活上の不利益などが生じます。
法律上の不利益としては、

①新たに有罪判決を受ける際に執行猶予を付けることができない、または、執行猶予の取消事由等にあたります。
②一定以上の前科により、国政選挙や都道府県・市町村における選挙権及び被選挙権が制限されます。
③特定の資格や職業が制約されます。
禁錮刑以上で欠格事由にあたる例=国家公務員、地方公務員、保育士、宅地建物取扱者
警備業者、警備員、建築業者、建築士など
罰金刑以上で欠格事由にあたる例(資格・職業が認められる場合もあります)
=医師、薬剤師、看護師、准看護師、保健師、助産師、調理師、柔道整復師など
海外渡航や永住等が制限される場合があります。

また、前科があることについて、就職や転職を行う際の事実上の不利益も考えられます。就職や転職をする際には、企業などが志望者の身辺調査を行う場合があり、そこで前科が発覚した場合、採用不採用の判断にマイナスの影響を与えることがあります。また、志望者本人だけでなく、一定の親族に前科がある場合であっても、マイナスの影響を与えるおそれもあります。

 

3 盗撮・のぞき事件と前科

盗撮・のぞき行為で、各地方自治体の迷惑防止条例に違反した場合、50万円から100万円以下の罰金若しくは6月から1年以下の懲役に処せられることなります。

そして、実際に盗撮事件・のぞき事件で起訴された場合には、軽くても罰金20万円程度の有罪判決を受け、前科がついてしまいます。

したがって、前科を避けるためには、起訴されないように活動することが重要となります。
具体的には、不起訴処分をめざし弁護活動を行うことが考えられます。

検察官により不起訴処分がされれば、前科はつかず、前科による不利益を受けることもありません。そして、逮捕・勾留されている場合でも、不起訴処分となることで釈放され、日常生活に戻ることができます。

盗撮・のぞき事件で不起訴にしたいなら、刑事事件に強い弁護士と接見し、事件に関する適切なアドバイスを受けることが大切です。

盗撮事件・のぞき事件で逮捕された場合には、すぐに刑事事件を中心に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所(0120-631-881)までご相談下さい。

 

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