【事例解説】カメラを設置し盗撮した疑いで逮捕(前編)
勤務先の更衣室にカメラを設置し盗撮した疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
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【事例】
三重県内の高校に勤務する教師のAさんは、高校の施設内、更衣室や教室、トイレなどに、盗撮目的で複数のカメラを設置していました。
そうしたところ、不審に思った生徒がカメラの存在に気付き、事件が発覚しました。
Aさんは、自分がやったことだとバレるのは時間の問題だと思い、自らがカメラの設置を行ったことを学校側に白状しようと考えていました。
そこで、Aさんは、今後の対応について知り、刑事処分の軽減を目指すために弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
【自首とは】
自首とは、捜査機関に対し自身の犯罪事実を申告することをいい、刑法42条1項と2項に規定されています。
1項では捜査機関に対する自首を、2項では親告罪における告訴権者に対する自首を定めています。
自首が成立すれば、裁判で任意的な減軽事由となり、最終的な刑が軽減される可能性があります。
自首が成立するためには、いくつかの要件がありますが、それを満たしていない場合は、自身で警察に行って犯罪行為を打ち明けたとしても「出頭」として扱われ、刑の任意的減軽という自首の効果を受けることはできません。
【自首が成立するためには】
自首が成立するためには、捜査機関に発覚する前に、罪を犯した者が自己の犯罪事実を捜査期間に対して申告する必要があります。
ですので、例えば友人に罪を打ち明けて、その友人が警察に告発したような場合は自首にはあたりません。
また、捜査機関に発覚する前に犯罪事実を申告する必要があります。
具体的には、犯罪事実が捜査機関に全く認知されていない場合、または犯罪事実は認知されているが犯人が誰であるか認知されていない場合をいうものとされています。
今回の事例では、カメラの設置が発覚した段階で学校側は警察に通報しているでしょうから、捜査機関は犯罪事実を認知しているといえるでしょう。他方、Aさんが犯人であると認知されているかは定かではありません。そのため、自首が成立するかどうか微妙なラインといえるでしょう。