【事例解説】男子高校生が同級生を盗撮した疑いで逮捕
男子高校生が同級生の女子高校生を盗撮した疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
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事例
男子高校生のAさん(17歳)は、受験勉強のストレスから、通学途中の駅のエスカレーターや学校内でスマートフォンを使い盗撮を繰り返していました。
ある日、Aさんが駅のエスカレーターで盗撮をするためスマートフォンを女子高校生のスカート内に差し入れたところ、女子高校生Vが盗撮されていることに気付きAさんを問い詰めました。
女子高校生Vの通報により、駅員や警察が現場にかけつけ、盗撮したことを認めなかったAさんは性的姿態等撮影罪の疑いで逮捕されてしまいました。
被害者の女子高校生のVさんは、Aさんと同じ学校に通う同級生であったため、Aさんの盗撮行為は学校も知ることになりました。
警察からAさんを逮捕したとの連絡を受けたことに加え、学校からも連絡を受けたAさんのご両親は、今後の対応について弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
17歳の高校生が逮捕された場合の少年法の適用について
今回逮捕されたAさんは、17歳であるため、少年法が適用されます。
刑法において、「少年」とは20歳未満の者を指し、少年が刑事事件を起こした場合は「少年事件」として扱われます。
Aが起こした事件は、駅のエスカレーターで盗撮をしたところ被害者に気付かれたという内容であり、この行為に性的姿態等撮影罪の疑いが持たれています。
もっとも、少年事件と成人が起こす刑事事件(以下「成人事件」と言います。)では異なる点がいくつかあり、大きな違いの一つとしては、成人は懲役刑や罰金刑などの処罰が与えられることに対し、少年事件は「保護処分」として処罰ではなく少年の性格の矯正や環境を調整して健全な育成を行うことを目的としていることが挙げられます。
つまり、今回のAのような少年が盗撮事件を起こした場合、性的姿態等撮影罪に規定されている法定刑で処罰されるのではなく、少年の性格や環境を調査して、今後同じような非行をしないための健全な育成を目的とした保護処分が下される可能性があるということになります。
17歳の少年が逮捕された後の流れ
逮捕されたAは、まず警察や検察などの捜査機関から取調べを受け、検察官が引き続き身柄を拘束するべきかどうかを判断します。
身柄を拘束する必要がなければ釈放されますが、必要があると判断されれば、勾留や勾留に代わる観護措置がとられて逮捕に引き続き身柄を拘束される可能性があります。
その後、事件が家庭裁判所に送致され、家庭裁判所がAの精神状態や性格、交友関係や家庭環境などを調査し、審判(=成人事件における裁判)を開く必要があると判断されれば、審判が開かれます。
審判が開かれて、Aに対して保護処分を与える必要があると判断されれば、保護観察や少年院送致といった保護処分が与えられます。
勾留や勾留に代わる観護措置がとられたり審判が開かれてしまうと、学校に行けなくなったり学校に事件のことが発覚して退学になってしまうおそれがあります。
このような事態を防ぐためには、弁護士から具体的なアドバイスを受けることが重要になります。
今回のAさんのケースでは、盗撮の被害者が同じ学校の同級生ということもあり、既に学校に事件のことが知られてしまっています。
このような場合、必然的に学校への対応も必要になりますので、少年事件の経験が豊富な弁護士に依頼して、適切な対応をお願いすることをお勧めします。