【事例解説】相手を誤信させた場合の性的姿態等撮影罪

2023-08-19

「誰にも見せないから」と被害者の方を誤信させたことによる性的姿態等撮影罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

Aさんは、肉体関係にある会社同僚のVさんとの性行為の様子を友人たちに見せるために、性行為中の様子を撮影しようと考えました。
Aさんは、正直に話したらVさんからの同意をもらうことができないと思い、「絶対誰にも見せずに自分で見て楽しむだけのものにするから性行為中の様子を撮影させてほしい」と嘘を言って、Vさんに撮影のお願いをしました。
Vさんは、Aさんだけが見るならと思って、この撮影に同意しました。
Aさんは、Vさんの同意のもと性行為の様子を撮影しました。
(この事例はフィクションです)

「誰にも見せないから」と行って性行為中の様子を撮影すると?

2023年7月13日から「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」(以下では、「性的姿態撮影等処罰法」と表記します)という法律が施行されています。
性的姿態撮影等処罰法2条1項では、駅のエスカレーターで前にいる女性のスカートにスマートフォンを差し入れてスカートの中の下着を撮影するといった盗撮行為を「性的姿態等撮影罪」として処罰の対象にしています。
もっとも、性的姿態等撮影罪はこのような盗撮行為のみを処罰の対象にしている訳ではなく、盗撮行為以外の撮影行為の場合にも性的姿態等撮影罪に当たる可能性があります。

そのひとつが性的姿態撮影等処罰法2条1項3号に規定されている場合です。
性的姿態撮影等処罰法2条1項3号では、
行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
と規定しています。
事例のAさんは、Vさんに対して「誰にも見せない」「自分だけが見る」との説明をして性行為の様子を撮影しています。Vさんの性行為の様子を撮影した動画は「特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ」て、「対象性的姿態等」に該当する性行為の様子を撮影したものといえます。
そのため、Aさんのこのような撮影行為には性的姿態撮影等処罰法2条1項3号による性的姿態等撮影罪に当たる可能性が高いと言えます。
性的姿態等撮影罪として起訴されて有罪となってしまうと、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金が科される可能性があります。

性的姿態等撮影罪の疑いで警察の捜査を受けられている方は

性的姿態等撮影罪の疑いで警察の捜査を受けられてお困りの方は、いち早く弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は性的姿態等撮影罪をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
性的姿態等撮影罪の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

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