看護師を目指す大学生が盗撮事件を起こし逮捕

2021-10-26

今回は、看護師資格の取得を目指している大学生が、盗撮事件を起こして逮捕された場合に注意すべきポイントについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~
Aさんは、看護師資格の取得を目指し、福岡県の大学にて勉学に励んでいる大学3回生です。
ある日、商業施設の女子トイレ利用者を盗撮しようと考え、女子トイレに立入り、盗撮カメラをしかけて外に出たところ、巡回中の警備員に見つかり、警察を呼ばれてしまいました。
駆け付けた警察官によってAさんは●署に連れて行かれたあと、福岡県迷惑行為防止条例違反及び建造物侵入の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~Aさんが犯した罪について解説~

(福岡県迷惑行為防止条例違反の罪)
福岡県迷惑行為防止条例第6条3項は次のように規定しています。

※福岡県迷惑行為防止条例
第六条 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で次に掲げる行為をしてはならない。
一 省略
二 省略
2 省略
3 何人も、正当な理由がないのに、第一項に規定する方法で次に掲げる行為をしてはならない。
一 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人の姿態をのぞき見し、又は写真機等を用いて撮影すること。
二 前号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること。

Aさんは、商業施設の女子トイレにおいて、トイレ利用者の姿態を盗撮するためにカメラを設置しています。
もし、衣服の全部又は一部を着けない状態のトイレ利用者が撮影されていれば、福岡県迷惑行為防止条例第6条3項1号に違反する可能性が高いでしょう。
また、トイレ利用者が全く撮影されていないとしても、トイレ利用者を盗撮する目的でカメラを設置した時点で、同条例第6条3項2号に違反する可能性が高いです。

上記規定に違反し、有罪判決が確定すると、「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」に処せられます(同条例第11条1項)。

(建造物侵入罪)
Aさんは盗撮目的で女子トイレに立ち入っています。
当該行為は建造物侵入罪(刑法第130条前段)を構成する可能性があります。
法定刑は、「三年以下の懲役又は十万円以下の罰金」となっています。

~逮捕されてしまったAさんが注意すべきポイント~

(早期の身柄解放を実現する)
逮捕されてしまうと、当然ですが自由に外に出ることができません。
さらに、裁判官によって勾留決定がなされると、身体拘束が長期化することになります。
その間、大学に登校することはできませんので、単位を取得できない、あるいは留年するなどの不利益が生じる可能性があります。
いずれにしても、勉学において遅れをとってしまうことになるため、一日も早く外に出て、今まで通りの生活に戻る必要があります。

そのためには、早期に弁護士を依頼し、身柄解放活動を行ってもらうのがよいでしょう。
Aさんが初犯であれば、ケースの場合、適切な弁護活動を行うことによって、勾留されずにすむ可能性もあります。
勾留されなければ、逮捕日から1~3日程度で外に出られるので、身体拘束にともなう不利益を最小限に留めることができます。

(看護師資格について)
ケースの場合は、初犯であっても示談ができない場合、罰金刑を言い渡される可能性が高いでしょう。
ところで、保健師助産師看護師法第9条は次のように規定しています。

※保健師助産師看護師法
第九条 次の各号のいずれかに該当する者には、前二条の規定による免許(以下「免許」という。)を与えないことがある。
一 罰金以上の刑に処せられた者
二 前号に該当する者を除くほか、保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者
三 心身の障害により保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
四 麻薬、大麻又はあへんの中毒者

Aさんが罰金刑に処せられた場合、同法第9条1号の欠格事由に該当することになります。
この場合、看護師資格の取得を目指して勉学に励んでいるのにも関わらず、資格を取得できない可能性が生じることになります。
免許を与えない「ことがある」という規定なので、罰金刑を受けた以上は絶対に看護師資格を取得できない、というわけではありませんが、取得できなくなるリスクは極力排除したいところです。

もし、不起訴処分を獲得することができれば、裁判にかけられることはないので、罰金刑を受けることはありません。
Aさんにおいて真摯に内省を深め、被害者に謝罪と賠償を行い、示談を成立させることができれば、不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。

また、事件の背景には窃視症などの疾患が隠れている可能性もあります。
精神科などを受診して治療を受けることにより、再犯防止に努めていることを検察官にアピールすることも想定されるでしょう。

まずは早期に弁護士を依頼し、事件解決を目指して行動することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が盗撮、建造物侵入の疑いで逮捕され、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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