ドアスコープから室内のぞき逮捕
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ドアスコープから室内のぞき逮捕
玄関のドアスコープから室内を除いて逮捕された事件について、別が解説いたします。
【事例】
京都市内に住む男性Aさん。
女性が住むマンションやアパートなどの玄関ドアにあるのぞき穴(ドアスコープ)を使って、外から室内の様子をのぞき見る行為を繰り返していました。
ある日、いつものようにのぞいていたところ、隣の部屋の住人にその様子を発見され、警察が駆け付ける事態に。
Aさんはそのまま京都府南警察署の警察官に逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~住居侵入罪などに問われる~
上記事例は、最近ニュースとなったこの事件を参考にしています。
約10年間“常習的”にのぞきか 長岡署の巡査部長を起訴【新潟】
Yahoo!ニュース(NST新潟総合テレビ)
このニュースの事件でも、警察官の男性が玄関ドアのドアスコープから室内をのぞき見し、邸宅侵入罪や建造物侵入罪で逮捕・起訴されています。
今回、問題となっている条文を見てみましょう。
刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
この条文には、住居侵入罪や邸宅侵入罪、建造物侵入罪などが規定されています。
「住居」は人が住んでいる家、「邸宅」は空き家、「建造物」は居住用ではない建物を指します。
これらの場所に、住人などの意思に反して立ち入ると、犯罪が成立する可能性があるのです。
また、部屋や建物の中に入らなくても、敷地や廊下などの共用部分に入った時点でこれらの犯罪が成立する可能性があります。
上記事例やニュース記事の事件では、ドアスコープの外からのぞき見ているので、部屋の中には入っていないわけですが、敷地や共用部分には立ち入っているので、犯罪が成立する可能性があるわけです。
~軽犯罪法違反にも~
また、このようなのぞき行為は、軽犯罪法にも違反する可能性があります。
軽犯罪法1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
第23号
正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
事例のAさんやニュースの警察官は、「住居…をひそかにのぞき見た者」に該当する可能性があります。
ただし、軽犯罪法の罰則は拘留または科料です。
拘留は懲役と似たものですが、1日以上30日未満のみという期間制限があります。
また、科料は罰金と似たものですが、1000円以上1万円未満という低い金額を徴収されるにすぎません。
盗撮までしていれば、各都道府県が制定する迷惑防止条例に違反し、もっと重い処罰を受けさせることもできますが、住居等ののぞき見は基本的に規制対象となっていません。
そこで、のぞき見自体ではなく、住居侵入罪などで処罰されることが多くあります。
~弁護士にご相談ください~
のぞきや盗撮などでご自身やご家族が逮捕された、警察に呼び出されたといった場合、いつ釈放されるのか、どんな犯罪が成立するのか、どれくらいの刑罰を受けるのか、取調べにはどう対応したらよいのか、示談に向けてどうしたらよいのかなど、不安だらけだと思います。
事件の詳しい内容に応じてアドバイス致しますので、ぜひ一度、弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
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