盗撮動画を拡散させると脅して逮捕
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盗撮動画を拡散させると脅して逮捕
盗撮した相手を、動画を拡散させると脅して逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
兵庫県伊丹市に住むAさん。
友人の女性宅に訪れた際、脱衣所などに隠しカメラを設置し、女性が裸でいる様子を盗撮しました。
また、盗撮した動画の一部を女性に送り、
「拡散されたくなければ、セックスさせろ」
などと言って脅しました。
女性は伊丹警察署に相談。
後日、Aさんは逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~まずは迷惑防止条例違反に~
はじめに、女性宅の脱衣所にカメラを設置して盗撮した行為につては、各都道府県が制定する迷惑防止条例に違反する可能性があります。
兵庫県の条例を見てみましょう。
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
第3条の2第3項
何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。
住宅の脱衣所は、「人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」に当たるでしょう。
このような「場所にいる人を写真機等を用いて撮影」したわけですから、この条文に違反したことになります。
罰則は原則として、6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。
~強要未遂罪も成立~
さらにAさんは、盗撮動画をダシにして、性交をしようとしました。
この行為には、強要未遂罪が成立するでしょう。
条文を見てみます。
刑法223条1項
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2項 省略
3項 前二項の罪の未遂は、罰する。
裸の様子を写した動画が拡散されることは、その人の「名誉」を害する可能性があります。
また、被害者にとって、知人のAさんと性交をすることは、当然ながら、「義務のないこと」です。
したがって、「拡散されたくなければ、セックスさせろ」と言って性交に応じさせようとしたことは、「名誉…に対し害を加える旨を告知して脅迫し、…人に義務のないことを行わせ」ようとしたことになります。
そして、結果的に性交に応じさせるに至らなかったわけなので、223条3項の強要未遂罪が成立するということになります。
未遂の場合は罰則が軽くなる可能性が高いですが、法律上は最高で3年の懲役までありうることになります。
盗撮だけの場合と比べて、かなり重い結果が予想されます。
~お早めに弁護士にご相談を~
逮捕された後の手続きについて、詳しくはこちらをご覧ください。
【刑事事件の流れ】
あなた自身やご家族が、何らかの犯罪で突然逮捕された、警察に呼び出されたといった場合、どんな罪に問われているのか、いつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けるのか、示談はどうやってすればよいのかなど、わからないことが多いと思います。
事件の具体的な事情をもとに、最もいい事件解決のためにどう動いていくべきかをご説明致しますので、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。
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