【事例解説】野球場でのチアリーダーに対する盗撮

2023-08-12

野球場でチアリーダーに対する盗撮で警察の捜査を受けているケースについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

Aさんは、高校野球の観戦のために野球場を訪れました。
Aさんが座った座席の隣では、チアリーダーのVさんが試合に出場している野球部を応援していました。
Aさんは、性的な欲求を満たすためにスマートフォンをVさんのスカートの下に差し入れてVさんの下着盗撮しました。
Aさんが盗撮している様子を目撃した人がAさんを取り押さえて、警察に通報しました。(この事例はフィクションです)

野球場でチアリーダーのスカートの中を盗撮するとどのような罪になる?

2023年7月13日から、性的姿態等撮影等処罰法が施行されており、一定の盗撮行為が「性的姿態等撮影罪」(単に「撮影罪」と略されることもあります)として処罰の対象になりました。
どのような盗撮行為が「性的姿態等撮影罪」に当たるのかについては、性的姿態等撮影等処罰法2条1項1号から4号に定められています。
その内のひとつである性的姿態等撮影等処罰法2条1項1号では、「性的姿態等」を、正当な理由がないのに、ひそかに撮影した場合を「性的姿態等撮影罪」として処罰の対象にしています。
事例のAさんは、性欲を満たすためにという正当な理由なく、チアリーダーのスカートの中にスマートフォンを差し入れて下着を盗撮しています。
チアリーダーのスカートの中の下着というのは、人が身に着けている下着のうち現に性的な部位を覆っている部分(性的姿態撮影等処罰法2条1項1号イ参照)として「性的姿態等」に該当すると考えられます。
そのため、事例のAさんには、性的姿態等撮影罪として、3年以下の拘禁刑(改正法施行までは懲役刑)又は300万円以下の罰金刑が科される可能性があります。

裸や下着を撮影していなくても罪になる?

スカートの中の下着を盗撮した事例とは異なって、あくまでチアリーディングの制服を着た状態の人を制服の上から盗撮した場合は、「性的姿態等」を盗撮したというわけではないので、性的姿態等撮影罪には当たらないと考えられます。
しかし、だからといって制服の上からの撮影行為が罪に問われる可能性が全くないわけではなく、各都道府県が定める迷惑行為防止条例において規定されている「卑わいな言動」として、罰則の対象になる場合があります。
例えば、甲子園で有名な兵庫県が定める迷惑行為防止条例では、同条例3条の2第1項柱書では、
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
と規定し、「次に掲げる行為」として、同項1号において、
人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
という行為を掲げています。
そのため、例えば、公営の野球場の観客席でチアの制服の上からお尻付近を至近距離から盗撮したという場合には、被害者の方に恥ずかしい思いをさせて、不安を覚えさせたとして「卑わいな言動」に当たる可能性があります。
兵庫県迷惑行為防止条例同条例3条の2第1項1号の規定に違反して「卑わいな言動」を行ってしまうと、同条例15条1項によって、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。

盗撮や性的姿態等撮影罪で警察の捜査を受けてお困りの方は

盗撮や性的姿態等撮影罪について警察から捜査を受けて、今後について不安だという方は、弁護士に相談して、事件の見通しや今後の流れといったことについてアドバイスを受けることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は盗撮や性的姿態等撮影罪をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
盗撮や性的姿態等撮影罪で警察の捜査を受けてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

 

 

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