学校職員が学校で盗撮
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学校職員が学校で盗撮
学校職員が学校で盗撮をしたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ケース~
Aさんは愛知県名古屋市中村区内にある大学の職員です。
Aさんは勤務先の大学の便所において、使用中のトイレの個室の中をスマートフォンのカメラを用い撮影してしまいました。
中にいた女子生徒Vさん(20歳)が驚いてドアを開けると、Aさんがいました。
Vさんは愛知県中村警察署に盗撮されたとして被害届を提出し、Aさんは警察官に話を聞かれ、後日愛知県中村警察署に出頭することになりました。
(フィクションです)
~Aさんが行った盗撮は何罪?~
今回Aさんが行った盗撮には、愛知県迷惑行為防止条例違反の罪が成立する可能性が極めて高いと思われます。
愛知県迷惑行為防止条例第2条の2第3項1号は、
①住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所において、
②正当な理由なく、
③人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、
④人の姿態をのぞき見し、又は撮影すること
を禁止しています。
Aさんは、勤務先の便所において、正当な理由なく、人(女子生徒Vさん)の姿態を撮影したものであり、また、同撮影行為はVさんにおいて著しく羞恥心を与え、又は不安を覚えさせる行為であるということができるので、Aさんの行為が愛知県迷惑行為防止条例違反の罪を構成する可能性は極めて高いと思われます。
この盗撮行為による愛知県迷惑行為防止条例違反で有罪が確定すると、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。
また、今回のようなトイレの個室の盗撮の場合、建物の管理者である大学の意思に反し、盗撮目的でトイレに入ったとされれば、建造物侵入罪に問われるおそれもあります。
~Aさんは今後どうなるか?~
Aさんは愛知県中村警察署に出頭することになっているようですが、警察署に出頭した後には取調べを受けることになります。
取調べでは、盗撮するに至った経緯や、余罪=ほかにも盗撮を行っている事実はないかどうかといったことを聞かれることになるでしょう。
~逮捕される可能性は?~
逮捕には、①通常逮捕、②現行犯逮捕、③緊急逮捕の3種類があります。
②は「現に罪を行い、又は現に罪を行い終わつた」場合のみ可能です。
例えば、Vさんが犯行時にAさんを見つけその場で自らAさんを捕まえて警察に引き渡した場合が考えられます。
③は「死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪」の場合に、特定の状況下で令状なしに逮捕する逮捕を指します。
今回のケースでは②も③も当てはまりませんから、Aさんがケースの件で逮捕されるとすれば、①の通常逮捕がなされる可能性が考えられます。
AさんはVさんが届け出たあと、出頭を求められるまで在宅で待機する等Vさんに接触しないようにしていれば、学校職員という職についていることをも考慮すると、警察の求めに応じて出頭する限り、それほど逮捕される可能性は高くはないでしょう。
もっとも、出頭するまでのAさんの行動や、取調べにおけるやり取り、余罪が発覚した場合の余罪の種類によっては、出頭後に逮捕されてしまうことは十分あり得ます。
以下に、ケースの件に関して逮捕されるリスクを高める行動の例を紹介しましょう。
例・・・出頭前に逃亡する、急に出勤しなくなる、盗撮画像などの証拠を勝手に消去する、Vさんと接触を試みるなど
通常逮捕は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由(嫌疑の相当性)がある場合にはじめて適法に行うことができます。
ただし、罪証隠滅や逃亡のおそれが全くないなど明らかに逮捕の必要がないと認められる場合には、逮捕状は発付されません。
上記の例に挙げた行為は、いずれも罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがあると判断されるリスクを高める行為です。
在宅事件で捜査されているときは、逮捕されていないというメリットを最大限生かさなければなりません。
みずから逮捕されるリスクを高めることは、得策ではない、ということです。
出頭前に弁護士と相談し、出頭前、あるいは出頭後、どのように行動すればよいかについて助言を受けましょう。
~示談をし、有利な処分の獲得を目指す~
被害者と示談を成立させることにより、さまざまなメリットが考えられます。
例えば、示談を成立させていることにより、当事者間において事件が解決しているものとして、逮捕されるリスクが低減します。
また、検察官は捜査段階の最後に、Aさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを決めるのですが、示談を成立させることにより、不起訴処分を獲得できる可能性を高めることができます。
さらに、刑事事件とは別に、Vさんから損害賠償請求を受けるなど、民事紛争に巻き込まれるリスクを無くすことができます。
また、Vさんだけでなく大学とも示談や今後の処分などについても交渉する必要があるでしょう。
示談交渉についても、弁護士と相談し、有利な解決に向けて行動すべきです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に熟練した弁護士が多数在籍しており、ケースのような盗撮事件の解決実績も豊富です。
愛知県内で盗撮事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。