【報道解説】住居侵入事件から盗撮の余罪発覚

2022-12-27

【報道解説】住居侵入事件から盗撮の余罪発覚

住居侵入罪逮捕され、盗撮の余罪が複数発見された場合の刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「警視庁の警察官が、住居侵入罪の疑いで逮捕された事件で、持っていたスマートフォンから入浴中の女性を盗撮した動画が見つかっていたことが、新たにわかりました。
警視庁の巡査長・A容疑者(36)は、今月14日、相模原市で住宅の敷地内に侵入した疑いがもたれています。
その後の警察への取材で、A容疑者のスマートフォンから事件当日、侵入した敷地の隣にある住宅の風呂場で女性が入浴する様子を盗撮した動画が見つかっていたことが、新たにわかりました。
A容疑者のスマホからは、他にも入浴中の女性を盗撮した複数の動画が見つかっていて、警察は余罪を調べています。

(令和4年11月18日にTBSNEWSDIGで配信された報道より一部匿名にして引用)

【住居侵入罪で逮捕された後で盗撮の余罪が発覚することがある】

今回取り上げた報道では、A容疑者は住居侵入罪の疑いで逮捕されています。
住居侵入罪は、刑法130条に規定されている犯罪で、他人の家に正当な理由なく立ち入ることで成立します。
住居侵入罪の法定刑は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金となっています。

住居侵入罪という犯罪は、窃盗などの他の犯罪を行うための手段としてなされる場合が非常に多いです。
そのため、住居侵入罪の疑いで逮捕された場合は、当然警察はその後の捜査で被疑者が何のために他人の家に入り込んだのかということを捜査することになります。

逮捕後の取り調べで被疑者が「盗撮目的で入りました」と供述した場合や、逮捕した瞬間に被疑者が小型カメラを持っていた場合、被疑者のスマートフォンの中に盗撮したと思われる画像や動画が残っていた場合などには、警察は盗撮についても捜査することになると考えられます。
取り上げた報道では、住居侵入罪の疑いで逮捕した男性のスマートフォンから盗撮したと思われる動画が複数見つかっているとのことですので、盗撮についても立件のために捜査がさらに進んでいくものと思われます。

【住居侵入罪と盗撮の両方が成立した場合はどのような刑になる?】

盗撮は各都道府県が定める迷惑行為防止条例違反となる行為ですが、仮に住居侵入罪盗撮迷惑行為防止条例違反)の2つが立件された場合には、盗撮行為の目的で住居侵入という犯罪を犯したことになるので、住居侵入罪盗撮は刑法54条1項後段に規定されている牽連犯(「けんれんはん」または「けんれんぱん」)の関係になると考えられます。

牽連犯となった場合、住居侵入罪盗撮のうち「その最も重い刑により処断」されることになります。
住居侵入罪の法定刑は、先ほども説明したとおり3年以下の懲役又は10万円以下の罰金です。

盗撮による迷惑行為防止条例違反の法定刑は各都道府県によって様々ですが、神奈川県の場合は、神奈川県迷惑行為防止条例15条1項によって1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となっていて、常習的に盗撮を行っていた場合には、同条例16条1項によって2年以下の懲役又は100万円以下の罰金となっています。
住居侵入罪神奈川県迷惑行為防止条例違反の法定刑を比べると、懲役刑が3年という点で住居侵入罪の法定刑の方が重いといえますので、神奈川県で他人の家に入り込んで盗撮をした場合には、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金が科される可能性があることになります。

【盗撮以外にも犯罪が成立するのではないかとご不安な方は】

他人の家の敷地に入り込んで盗撮した場合以外にも、例えば、駅やデパートの女子トイレに入り込んで盗撮したという場合には盗撮の他に建造物侵入罪が成立することになります。
建造物侵入罪住居侵入罪と同じ刑法130条に規定されていますので、法定刑は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金です。

このように自分が管理していない家や建物に侵入して盗撮をした場合には、盗撮以外の犯罪も成立することになりますので、現在、盗撮について事件の捜査を受けている方で住居侵入などの他の犯罪について立件されないか不安な方は、まずは弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士に相談することで、盗撮以外の犯罪についても立件される可能性があるか、立件された場合にどのような罪に問われる可能性があるかといった事件の見通しについてアドバイスを貰うことができるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
盗撮について警察の捜査を受けて他の犯罪についても立件されるのではないかとご不安に思っている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

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