【報道解説】高校生が複数の盗撮行為で書類送検

2022-12-05

【報道解説】高校生が複数の盗撮行為で書類送検

17歳の高校生が18回にわたって盗撮行為を繰り返して福岡県迷惑行為防止条例違反などの疑いで書類送検された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「福岡県行橋市の17歳の高校生が、18回にわたって盗撮を繰り返していたとして、県の迷惑行為防止条例違反などの疑いで書類送検されました。
警察によりますと、少年は去年9月からことし6月にかけて、脱衣所や浴室などにいた10代から50代の7人の女性を、携帯電話で18回にわたって盗撮した疑いがもたれています。
少年はことし9月、行橋市内の住宅に侵入してゲーム機などを窃盗した疑いで逮捕され、押収した携帯電話の映像などから盗撮が発覚しました。
少年は『性的欲求を満たすために女性の裸が見たかった』と、容疑を認めているということです。」

(令和4年11月2日にFBS福岡放送で配信された報道より引用)

【17歳高校生が盗撮行為の罪】

盗撮行為は各都道府県が定める迷惑行為防止条例によって罰則の対象になっています。

福岡県迷惑行為防止条例6条3項1号では、「住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人の姿態を…写真機等を用いて撮影すること」を禁止しています。
これに違反すると、福岡県迷惑行為防止条例11条1項によって、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金にが科せられる可能性がありますし、常習として盗撮行為を行っていた場合には福岡県迷惑行為防止条例12条1項によって、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられる可能性もあります。
また、盗撮行為を行うために、他人の住宅や他人が管理する入浴施設に立ち入った場合には、刑法130条が定める住居侵入罪建造物侵入罪も成立して、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金が科せられる場合もあり得ます。

このように盗撮行為をした場合や、盗撮目的で他人の敷地に立ち入った場合は刑事罰の対象になるのですが、これは盗撮事件を起こした人の年齢が20歳以上のときの話です。
取り上げた報道のように、17歳の高校生の少年盗撮事件を起こした場合は、刑事事件ではなく少年事件として扱われることになりますので、通常の刑事手続とは異なる手続で事件が処理されることになります。

具体的には、少年事件の場合、警察から検察へと盗撮事件が送致された後は、検察が起訴するかどうかの決定をするのではなく、検察から家庭裁判所へと盗撮事件が送られます。
そして、家庭裁判所において、盗撮事件に関する事実の調査と盗撮事件を起こした少年の性格や生い立ち、家庭環境などの調査を経た上で、家庭裁判所少年審判という手続で最終的な少年の処遇を決定することになります。

そのため、17歳の高校生盗撮事件を起こした場合、罰金や懲役といった刑事罰が科されることはありませんが、少年審判の結果、家庭裁判所から「少年院送致」や「保護観察」といった保護処分が下される可能性があります。
少年院送致」は、事件を起こした少年少年院に入所させて少年の更生のための措置をとるもので、「保護観察」は少年少年院に入所させることはせずに保護観察官保護司と呼ばれる人から指導・支援を受けつつ更生のための遵守事項を守りながら社会生活を送るというものです。

【高校生の盗撮事件における弁護士の役割】

高校生のお子さんが盗撮事件を起こした場合は、お子さんのサポート役として弁護士に事件の依頼をすることができます。

さきほど、20歳未満の少年盗撮事件を起こした場合は、少年事件として通常の刑事手続とは異なる手続で盗撮事件が処理されると説明しましたが、盗撮事件家庭裁判所に送致されるまでの警察や検察による捜査段階では、少年であっても通常の刑事事件と基本的には一緒の取扱いを受けることになります。
このような場合に弁護士に事件について依頼しておけば、捜査段階において行き過ぎた捜査が行われることが無いよう弁護士が「弁護人」としてお子さんのサポートを行うことができます。

さらに、盗撮事件家庭裁判所に送致された後は、今度は弁護士が「付添人」として、少年の更生のために真に必要な処分を家庭裁判所の裁判官や調査官と交渉して、必要以上に厳しい処分がなされることを回避するための活動をとることができます。
少年に対する処分は、今回問題となっている盗撮行為をいつからやっているのか、被害者が何人いるのか、盗撮以外にも窃盗などの非行を行っていないか、過去に警察で補導された経験や家庭裁判所で処分を受けた経験があるかなどの様々な要素を踏まえて決定されるのですが、具体的な事実関係次第では、弁護士による交渉の結果、審判を開始しない決定(審判不開始)や審判を開始した上で少年に対して何らの処分を出さない(不処分)という決定を獲得することも不可能ではないでしょう。

お子さんの盗撮事件弁護士に依頼することのメリットは上記以外にもあります。
弁護士がお子さんの更生のために他にどのようなサポートをすることができるか知りたい場合は、まずは弁護士にお子さんの盗撮事件について相談することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
高校生のお子さんが盗撮行為をしたことで警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

Copyright(c) 2021 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 All Rights Reserved.