カメラをかざして逮捕【盗撮未遂?】

2020-11-17

カメラをかざして逮捕【盗撮未遂?】

下着を盗撮するためにカメラを向けた段階で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】
大阪府河内長野市に住む男性Aさん。
駅のエスカレーターで、スカートを履いた女性の下着を盗撮しようとし、スマホをスカートの下にかざした瞬間、女性に気付かれました。
まだシャッターを切る前の段階でしたが、これはマズいと思ったAさんは、慌てて逃げようとしました。
しかし、追いかけてきた女性に捕まり、駅事務所に連れて行かれました。
その後Aさんは、駆け付けた河内長野警察署の警察官により逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~盗撮に成功していなくても犯罪に~

下着を盗撮しようとして逮捕されたAさん。
まだ撮影はしていませんでしたが、都道府県によっては条例により、カメラを向ける行為を明確に処罰の対象としています。

たとえば、東京都の迷惑防止条例を見てみましょう。

第5条
何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(1) 省略
(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)

このように、「撮影し」という言葉の他に、「撮影する目的で写真機その他の機器を差し
向け、若しくは設置すること」という言葉が出てきています。
カメラを向けたり設置しただけでも、犯罪になるのです。

一方、冒頭の事例の大阪府では、カメラを向けたり設置しただけの場合を処罰する規定は、明確には定められていません。

では合法なのかと言うと、そうとは言い切れません。
迷惑防止条例の以下の規定により処罰される可能性があります。

第6条
何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
1~3号 省略
4号 前三号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をすること。

盗撮しようとしてカメラを向ける行為は、それだけで被害者にとっては嫌な行為ですから、この規定の「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をすること」に当たると言うことができるわけです。

なお、実際に盗撮に成功したが、警察にカメラ等を押収される前に削除済みで、復元も出来ず、被疑者が盗撮したことを立証できないが、カメラをかざしたこと自体は目撃者の供述や防犯カメラ映像から明らか、といった場合にもこの規定で処罰される可能性はあります。

罰則は原則として、6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。

このように、盗撮しようとすると、未遂と言える段階で犯罪に当たりうることになります。

~弁護士にご相談下さい~

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