民泊で盗撮したらどうなる??
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民泊で盗撮したらどうなる??
神奈川県茅ケ崎市で無許可で民泊を営んでいたAさんは、ある部屋の天井に取り付けた火災報知機型の小型カメラで、同部屋を利用した男女の姿などを盗撮した旅館業法違反、軽犯罪法違反の疑いで神奈川県茅ケ崎警察署から呼び出しを受けました。
刑罰を受ければ民泊を営むことができないと思ったAさんは、今後の対応につき刑事事件を専門にしている弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
~ 注目される民泊 ~
最近ではテレビや新聞などでも「民泊(みんぱく)」という言葉を目にする機会が多くなりました。
「民泊」という言葉に法律上の明確な定義がありませんが、現在では「民泊」と言えば一般的に自宅の一部や全部、または空き別荘やマンションの一室などを他人に有償で貸し出すことを指すようになっています。
民泊が注目されるようになった理由としては
・訪日外国人観光客増加と宿泊施設不足
・空き家活用など地方創生へのきっかけ
・シェアリング・エコノミーの推進
・不動産投資の新たな選択肢
という点が挙げられています。
* シェアリング・エコノミー *
シェアリング・エコノミーとは、個人同士が空き部屋を貸し借りするというもので、不動産資産を有効活用する手段として注目を集めています。
正確な定義については総務省のホームページで照会されています。
~ 民泊を営むには許可が必要、無許可の場合は罰則も ~
民泊を営むには旅館業法による許可を受ける必要があります。
民泊を営むことは旅館業法上「簡易宿所営業」と呼ばれます。
「簡易宿所営業」とは、宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、下宿営業以外のものをいうとされています(旅館業法2条3項)。
Aさんのように、無許可で簡易宿所営業を営んだ場合は、「6月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又は併科」の刑を受けるおそれがあります(旅館業法10条1項、3条1項)。
~ 軽犯罪法違反では? ~
軽犯罪法の罰則は「拘留又は科料」です。
今回の盗撮行為に関しては軽犯罪法23号の窃視の罪に当たると考えられます。
以下、条文をご紹介します。
軽犯罪法23号
正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
民泊の一室が「通常衣服をつけないでいるような場所」に当たると判断されれば、Aさんの盗撮行為は軽犯罪法違反、ということになります。
なお、神奈川県の迷惑防止条例では、「住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服等の全部若しくは一部を着けないでいるような場所」での盗撮行為も禁止しているため、民泊内でも特に盗撮をしていた場所によっては、Aさんには神奈川県の迷惑防止条例違反が成立する可能性もあることに注意が必要です。
~ 罰金以下の刑を受けるとどうなる? ~
旅館業法3条2項各号では、旅館業の許可を受けることができない事由、すなわち欠格事由(相対的欠格事由)について定めています。
そのうち、3号では
禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律若しくはこの法律に基づく処分に違反して罰金以下の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して3年を経過していない者
とされています。
「罰金以下の刑」とは、罰金、拘留、科料を意味しますから、無許可で旅館業を営んだ場合は3号の欠格事由に当たり、「3年間は許可を得て旅館業を営むことができない可能性」が出てきます。
~ 軽犯罪法と旅館業法との関係は? ~
罰金以下の刑に処せられて欠格事由に当たり得る場合は、あくまで旅館業法あるいは同法に基づく処分に違反した場合ですので、軽犯罪法違反で処罰を受けたとしても欠格事由には該当しないようです。
しかし、本件のように、盗撮の発覚をきっかけとして無許可営業の発覚→欠格事由の該当という流れも十分想定し得るところです。
また、先ほど触れたように、盗撮した場所によっては、条例違反等に問われることがあり、その場合は、「懲役刑に処せられる可能性」も十分想定し得ます。
お困りの方は一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,盗撮事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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