【事例解説】性的姿態等撮影未遂で後日逮捕①

2024-01-18

性的姿態等撮影未遂で後日逮捕された事例を参考に性的姿態等撮影未遂罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

盗撮犯

事例 

Aさんは、通勤で使う駅構内のエスカレーターで前に立っていた女子高校生のスカート内盗撮しようとスマートフォンをスカート内に差し入れました。
Aさんの盗撮行為は、エスカレーターの後ろにいた目撃者に気づかれ声をかけられたため、Aさんはその場から急いで逃走し自宅に帰ってきました。 
自宅に帰ってきたAさんは盗撮したデータを確認したところ、スカート内は写っておらず撮影は失敗していました。
被害届が出されていたようで、防犯カメラの映像目撃証言などからAさんが特定され、性的姿態等撮影未遂の疑いで後日自宅に来た警察官にAさんは逮捕されてしまいました。
Aさんが逮捕されたという連絡を受けた、Aさんのご両親は、状況を確かめるため弁護士に相談し初回接見の依頼をしました。

性的姿態等撮影未遂について

性的姿態等撮影罪は、昨年7月13日に施行された「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」の第2条1項に定められている罪になります。 
性的姿態等撮影罪が成立する主な行為としては、駅のエスカレーターなどでスカート内を盗撮する行為などが考えられます。 
また、性的姿態等撮影罪第2条2項未遂犯の処罰規定も設けられています。
そのため、盗撮行為が未遂に終わっていたとしても性的姿態等撮影未遂罪という犯罪が成立する可能性があります。
未遂が成立する場合としては、①犯罪の実行に着手したが、実行行為が終了せずに行為が終わった場合、②犯罪の実行に着手し実行行為も終了したが、失敗に終わった場合などがあります。 
盗撮の場合で考えてみると、①の場合は、エスカレーターで前に立っている女性のスカート内を盗撮しようとスマートフォンをスカート内に差し向けようとしたところ写真が撮影される前に後ろにいた人に止められた場合が考えられます。
②の場合としては、スカート内にスマートフォンを差し入れて写真や動画を撮影することが出来たものの、撮影に失敗しており下着が全く写っていなかった場合や下着の上に体操服などを来ていて下着が撮影出来ていなかった場合などが考えられます。 
未遂犯の場合は「その刑を減刑することができる。」(刑法43条本文)と定められていますが基本的な法定刑は既遂犯と変わりません。
ですので、性的姿態等撮影未遂罪で減刑される可能性はあるとしても、法定刑は「3年以下の懲役刑又は300万円以下の罰金」となります。 

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