下着を写していなくても盗撮

2019-10-26

下着を写していなくても盗撮

下着を写していない盗撮事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~
Aさんは、大阪市南区内の駅において、前を歩く女性Vに接近し、Vと100センチメートルほどの距離において、Vの臀部を強調する写真を撮影してしまいました。
Vはスカートを着用していましたが、スカートの中は写っていませんでした。
盗撮行為を警戒していた大阪府警の鉄道警察隊から職務質問を受け、Aさんが上記の盗撮を認めると、大阪府迷惑行為防止条例違反の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
大阪府南警察署に留置されたAさんは、家族が依頼した弁護士に接見し、今後について相談しました。
(最高裁平成20年11月10日決定を基にしたフィクションです)

~下着が写っていなくても犯罪にあたるのか?~

盗撮の典型的な手口の1つとしてあげられるのは、女性のスカートの下にカメラを構え、スカート内の下着を撮影するといった手口です。
しかしながら、Aさんはスカートの中を盗撮したのではなく、Vから100センチメートルほど離れて、Vの臀部を撮影したにすぎません。
このような場合であっても、罪に問われるのでしょうか。

大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第6条1項4号は、
①人に対し、
②公共の場所又は公共の乗物において、
③人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような
④卑わいな言動をすること
を禁止しています。

卑わいな言動」とは何を意味するのでしょうか。
最高裁平成20年11月10日決定によると、「卑わいな言動」とは、社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作を意味します。
同決定における事件は、被告人が、ショッピングセンターにおいて、女性客に対し、その後を少なくとも約5分間、40メートル余りにわたって付けねらい、背後の約1ないし3mの距離から、右手に所持したデジタルカメラ機能付きの携帯電話を自己の腰部付近まで下げて、細身のズボンを着用した同女の臀部を同カメラでねらい、約11回撮影したというものでした。
これに対し、同決定は、「被告人の本件撮影行為は、被害者がこれに気付いておらず、また、被害者の着用したズボンの上からされたものであったとしても、社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな動作であることは明らかであり、これを知ったときに被害者を著しくしゅう恥させ、被害者に不安を覚えさせるものといえる」とし、被告人の有罪を認めました。

今回のAさんのケースの場合はどうでしょうか。
駅は、「公共の場所」に該当します。
そして、Vの臀部をスカート越しに強調する写真を、Vから100センチメートルほどの距離において撮影する行為は、上記決定に照らすと、これだけでは当然に「卑わいな言動」に該当するとまでは言い切れません。
しかし、Aさんの盗撮行為の態様が長時間Vを付け狙ったり、何度も撮影していた、といったものであれば、「卑わいな言動」に当たる可能性があると考えられます。
上記の行為が行われ、Vがこれを知った場合、Vを著しく羞恥させ、又はVに不安を覚えさせるものと考えられるので、Aさんに大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反の罪が成立する可能性が高いと思われます。

~身柄解放活動、示談交渉を弁護士に依頼~

逮捕され、勾留されると、最長23日間もの間身体拘束を受けることになります。
23日間もの間、会社や学校を無断欠勤、欠席すると、会社を解雇されたり、学校を留年するおそれが極めて高くなります。
そのため、一刻も早く留置場や拘置所の外に出て、今まで通り出勤、登校することが重要になります。
逮捕された後も、勾留がつかなければ釈放されるので、弁護士は検察官や裁判官に対し、勾留の要件を満たさないことを主張し、勾留決定を回避する活動を行います。
勾留されてしまった場合は、勾留の取消などを求め、不服申し立てを行うことができます(準抗告)。

また、Vと示談を行うことも重要です。
示談が成立すると、当事者間で事件が解決したものと判断され、釈放される可能性が高まります。
また、捜査の最終段階において、検察官がAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを検討するのですが、その際に、示談が成立していることがAさんにとって有利な事情として考慮されることが期待できます。
不起訴処分を獲得できれば、裁判にかけられることがないので、前科が付かずにすみます。
また、示談が成立していることにより、後日、Vから損害賠償請求を受けるリスクを無くすことができます。
まずは、接見にやってきた弁護士から助言を受け、有利な事件解決を目指していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が盗撮事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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