東京都小金井市の盗撮事件

2019-04-24

東京都小金井市の盗撮事件

Aさんは,東京都小金井市にある公園内のトイレにおいて,盗撮する目的で個室内にカメラを設置した。
Aさんがカメラを設置した直後にトイレに入ったVさんが,カメラが設置してあることに気が付き,その場で警察に通報した。
通報によりかけつけた警視庁小金井警察署の警察官Xによってカメラは回収された。
数時間後,Aがカメラを回収しようと公園内のトイレに来たところ,張り込んでいたXによってAは東京都の迷惑防止条例違反の疑いで事情を聞かれることになった。
なお,Vがカメラにすぐに気づいたので,カメラに排泄行為は映っていなかった。
(フィクションです)

~盗撮~

盗撮行為は各都道府県の制定するいわゆる迷惑行為防止条例によって禁止されています。
どのような行為が盗撮行為となるかは,各都道府県条例によって違いはありますが,基本的な内容は以下のようになっています。

何人も,公共の場所又は公共の乗物において,正当な理由なく,人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような方法で,次に掲げる行為をしてはならない。
・衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影すること。
・上に掲げる行為をする目的で,写真機,ビデオカメラその他の機器を設置し,又は衣服等で覆われている人の身体若しくは下着に向けること。

また,これらの内容に加え,東京都の迷惑防止条例もそうであるように,「学校,事務所,タクシーその他の不特定又は多数の者が利用することができる場所又は乗物」,「住居,浴場,便所,更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」でも同様に撮影や写真機等の設置が禁止されている地域もあります。

元来,盗撮行為は実際に撮影する行為のみを禁止しており,写真機等の設置やカメラを人に向ける行為自体は盗撮として規定されていませんでした。
また,刑法では犯罪の実行に着手し,既遂となった場合,すなわち法益を侵害する結果が発生した場合に処罰されるのが原則です。
犯罪の実行に着手しこれを成し遂げなかった場合を未遂といい(刑法43条),未遂を処罰する場合には別途,未遂の処罰規定が必要です(刑法44条)。
しかし,迷惑防止条例には盗撮行為の未遂を処罰する規定はありません。
したがって,たとえばスカートの中を盗撮しようとした場合でも,撮影に失敗したような場合には盗撮とはなりませんでした。
このような場合には「卑わいな言動」として処罰される場合もありました。
ですが,昨今の改正により,盗撮は実際に撮影した場合ではなく,撮影する行為が罰せられる条文となったりそうした条文が追加されたりして,実際に撮影できたかどうかは問われない地域も多くなりました。
ただし,実際に撮影ができたかどうかは刑事手続きにおいて罰則の重さ等に影響する可能性はあります。

~Aさんの場合~

今回のケースでAさんは盗撮目的でカメラを設置していますので,迷惑防止条例の規定する「(盗撮目的での)写真機などの設置」に該当します。
したがって,Aさんは迷惑防止条例違反となります。
しかし,Vさんがすぐにカメラを発見し,Xによってカメラは回収されていますので撮影自体はできていません。
そのため,今回のケースでは被害者がいないのではないかと思われるかもしれません。
しかし,カメラを発見できていなかった場合,Vさんは実際に盗撮されてしまっていたのであり,また,今後Vさんは「盗撮カメラが仕掛けられているかもしれない」という不安に駆られる可能性もあります。
このように考えると,実際に盗撮できていないとはいえ,Vさんは事実上の被害者であるともいえるでしょう。

盗撮事件の場合,初犯であり余罪がなければ被害者の方との示談を成立させることができれば起訴猶予の不起訴処分となる場合が多いです。
起訴猶予の不起訴処分となれば前科とあることもありません。
一方,示談がうまく整わなかった場合には罰金刑や執行猶予付きの判決となることが多く,この場合には前科となってしまいます。
ですが,「では示談をしたい」と考えても,被害者の方が加害者と直接示談交渉に応じてくれるというケースはほとんどありません。
弁護士であれば,被害者の方の同意を得ることができれば,警察や検察官から被害者の方の連絡先を教えて頂き示談交渉をすることもできます(当然ですが,依頼者の方に連絡先を教えるということはありません)。
また,被害者の方に示談に応じて頂けなくても贖罪寄付を行うことによって反省の色を示し,起訴猶予の不起訴処分を目指すこともあります。
いずれにせよ,弁護活動の方針は事件ごとに異なりますので,まずは刑事事件に精通した弁護士に相談することをお勧めいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門の法律事務所です。
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