盗撮に失敗しても盗撮罪?

2019-07-28

盗撮に失敗しても盗撮罪?

~ケース~

埼玉県朝霞市在住のAさんは埼玉県朝霞市内の駅のエスカレーターで女子高生であるVさんのスカートの中を小型デジタルカメラで盗撮しようとした。
しかし,盗撮しようとした際に電源ボタンに指が当たって電源が切れてしまい,写真を撮ることができなかった。
ですが,盗撮行為に気づいたVさんや周囲の人によってAさんは取り押さえられ,通報により駆け付けた埼玉県朝霞警察署の警察官にAさんは引き渡された。
連絡を受けたAさんの家族は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士初回接見サービスを依頼した。
(フィクションです)

~盗撮~

盗撮行為は刑法に規定はありませんが,各都道府県の制定するいわゆる迷惑行為防止条例によって禁止されています。
条文は若干の違いはありますが,多くの都道府県で禁止されている行為は次のようになっています。

公共の場所において,正当な理由なく,人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような方法で衣服等に覆われている身体又は下着を撮影すること。

刑法は既遂処罰が原則で未遂を処罰する場合には別途規定する必要がありますが,迷惑防止条例には盗撮行為の未遂処罰は規定されていません。
したがって盗撮が未遂に終わった場合に処罰する規定は迷惑防止条例にはなく,別に定められている「卑わいな言動」として処罰するしかありませんでした。

しかし,最近では条例の改正により,「撮影すること」に加え「撮影する目的で撮影機器を差し向けること」を新たに盗撮の処罰の対象とする地域も増えてきました。
このため,地域によっては,盗撮に失敗し,盗撮が未遂に終わったとしても「撮影する目的で撮影機器を差し向けた」といえますので盗撮として処罰されることになります(なお,埼玉県ではまだこちらの条文の形にはなっていないため,先ほど挙げた「卑わいな言動」として処罰されることが考えられます。)。

今回のケースでAさんは,少なくとも盗撮する目的をもってVさんのスカート内にカメラを向けています。
したがって,誤って電源が切れてしまい撮影することができなかったとしても,差し向けた行為が盗撮として罰せられることになると考えられます。
上述のように,埼玉県では「卑わいな言動」として処罰される可能性があります(埼玉県迷惑防止条例2条4項)。
罰則は都道府県によって異なりますが,埼玉県では「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」となります(埼玉県迷惑防止条例12条2項1号)。

盗撮事件の場合,何度も繰り返しているという常習犯でなければ,起訴された場合でも罰金刑となることが多いでしょう。
また,初犯の場合や件数が少ない場合には刑事裁判とならずに略式手続きという簡易な手続きで罰金刑となる場合もあります。

~盗撮で捕まってしまったら~

盗撮で捕まってしまった(逮捕された)場合,勾留はされずに途中で釈放され,在宅で事件が進むケースも多いです。
在宅事件の場合には,勾留された場合と異なり検察官が起訴するかどうかのタイムリミットが厳格に定められていません。
そのため,検察官は事件後の情状などを総合的に判断して被疑者を起訴するかどうかを決定します。

盗撮事件で検察官が被疑者を起訴するかどうかの判断に最も大きな影響を与える要素の1つは,被害者の方と示談が成立しているかどうかです。
示談が成立している場合,当事者間で解決しているのであり,あえて国家が刑罰を科す必要はないと考えられる場合があります。
特に,示談交渉の中に,「加害者を許す」という宥恕条項がある場合には前科や余罪がない場合には高確率で起訴猶予となるでしょう。
一方で,示談が成立していない場合には起訴されてしまう可能性は高くなります。
したがって,盗撮事件では示談を成立させられるかどうかが鍵となります。

しかし,示談交渉には被害者の方の連絡先を知る必要があります。
弁護士であれば検察官等から被害者の連絡先を取り次いでもらい示談交渉ができる場合もあります。
まずは刑事事件に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。

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