盗撮で前科が付くのを避けたい

2020-01-09

盗撮で前科が付くのを避けたい

盗撮をした場合に前科を避ける方法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】
東京都八王子市に住む会社役員のAさんは、食料品スーパーで、予め起動していたスマートフォンのカメラ機能を使って女性のスカート内を盗撮したとして東京都迷惑防止条例違反の疑いで東京都八王子警察署逮捕されてしまいました。Aさんは接見に来た弁護士に「前科が付くことだけは避けたい。」などと話しています。
(フィクションです)

~ 盗撮行為に関する規定 ~

東京都迷惑防止条例(以下、条例)には盗撮について以下のとおり規定しています。

第5条1項
何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(1) 省略
(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)

Aさんの行為は赤く色付けした部分に該当してくるでしょう。
すなわち、Aさんが盗撮行為を行った食料品スーパーは公共の場所に当たります。
また、カメラ機能付きのスマートフォンは「写真機等」に当たります。
ですから、これを用いて「通常衣服で隠されている他人の身体又は他人が着用している下着」を撮影した場合はもちろん、撮影しようとカメラを向けた時点で、5条1項2号に当たる可能性があります。

盗撮行為に対する罰則は8条に規定されていますが、まとめると、

①盗撮の常習者が盗撮目的でカメラを向けた場合→6か月以下の懲役または50万円以下の罰金
②盗撮の常習者が実際に盗撮をした場合→1年以下の懲役または100万円以下の罰金
③盗撮の常習者が盗撮目的でカメラを向けた場合→1年以下の懲役または100万円以下の罰金
④盗撮の常習者が実際に盗撮をした場合→2年以下の懲役または100万円以下の罰金

となっています。
撮影まで完了した場合、また盗撮常習者の場合の方が重く罰せられることになるでしょう。

~ 前科、前科調書について ~

前科は裁判を受け、有罪となり、言い渡された刑が確定した場合につきます。

前科の内容は前科調書という検察庁の検察事務官が作成する書類に記録されます。
前科調書は裁判で言い渡された刑の内容を証明するためのものですから、前科調書には、いつ、どこの裁判所で、どんな罪名(窃盗罪、強盗罪など)で、どんな(死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料)の、どんな量刑(懲役●年、懲役●年 執行猶予●年、罰金●万円など)を言い渡されたのかが記載されています。

前科調書は、再度、あなたが罪を犯し裁判を受けることになった場合、上記の事柄を証明するために利用されます。

~ 前歴との違い ~

他方、前歴とは、裁判まではいかなくても、逮捕されたかされなかったかに関係なく、何らかの犯罪で被疑者として取り扱われた場合に警察官が記録として残したものです。
検挙日(認知日、逮捕日)、罪名、事件の顛末(不起訴、微罪処分など)などが記載されています。

前科調書同様、裁判で利用されることはありますが、前歴に記録された事件は正式に裁判を経ていないため、前科調書ほど裁判官の心証に影響力を与えるものではありません(ただし、前歴があるのと全くないのとでは異なります)。

~ 前科を回避するには!? ~

前科は、起訴され、裁判で有罪と認定され、不服申し立て期間が経過した(裁判が確定した)という過程を経て付きます。
ですから、前科を回避するには、起訴されるのを回避する、すなわち、不起訴処分を獲得することが重要です。

盗撮の場合、不起訴処分を獲得するには、被害者に真摯に謝罪した上で示談交渉を進め、示談を締結することが重要となります。
ですが、特に盗撮のような性犯罪では、当事者間で示談交渉を進めていくのはまず難しいと言えるでしょう。

そこで、弁護士の力が必要になってきます。
弁護士が当事者間に入ることで、示談交渉を円滑に進められる可能性が上がります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、盗撮をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
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