盗撮目的の学校侵入で逮捕
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盗撮目的の学校侵入で逮捕
盗撮目的で学校に侵入して逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
東京都に住む男性Aさん。
渋谷区内の高校の校舎内に、生徒を盗撮する目的で、工事関係者を装い立ち入りました。
しかし、Aさんの廊下での動きを見て不審に思った生徒が教師に報告し、教師がAさんに問いただしたところ、工事関係者ではないことが発覚。
警察に通報され、駆け付けた渋谷警察署の警察官により、Aさんは逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~建造物侵入罪が成立~
盗撮目的での学校侵入。
先日、似たような事件で小学校の講師の男性が逮捕されています。
上田市内の小学校講師、スマートフォンで撮影しようと…盗撮目的で侵入の疑いで逮捕
Yahoo!ニュース(SBC信越放送)
実際に盗撮はしていなくても、盗撮目的で校舎に立ち入った場合はもちろん、学校の敷地に立ち入った時点で、建造物侵入罪が成立することになります。
刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
~迷惑防止条例違反にも~
また、実際に盗撮したり、盗撮するためにカメラを向けると、各都道府県が制定している迷惑防止条例にも違反する可能性があります。
東京都の条例を見てみましょう。
第5条1項
何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(1) 省略
(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる
ような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用
し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)
学校のトイレや更衣室については「イ」の「便所」「更衣室」に該当します。
また、トイレや更衣室以外の場所についても、「ロ」に明記されている「学校」に該当するでしょう。
これらの場所で、通常は衣服で隠されている下着や身体を、盗撮したり、盗撮するためにカメラを向けると、この条文に違反するわけです。
罰則は、原則として、撮影まで完了してしまえば1年以下の懲役または100万円以下の罰金、盗撮目的でカメラを設置したり向けるにとどまった場合には6か月以下の懲役または50万円以下の罰金となります。
建造物侵入罪よりは軽い刑罰が定められていることになります。
~刑事手続きの流れは?~
犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間、勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
勾留期間の最後、またはその前に釈放された場合は一通りの捜査が終わった後、今回は大目に見るということで不起訴処分がなされることがあります。
一部の軽い犯罪などでは、裁判も受けず、前科も付かずに手続きが終わるのです。
商業施設などでの盗撮事件では、被害者と示談が出来た事件を中心に、不起訴処分になることもよくあります。
ただし、今回の事例のように、より重い刑罰が定められている建造物侵入罪に問われるということになると、罰金刑以上の結果となる可能性も上がってしまうでしょう。
~弁護士にご相談ください~
あなたやご家族が、何らかの犯罪で逮捕されたり、取調べのために呼び出されたといった場合には、今後どうなってしまうのか、わからないことだらけだと思います。
具体的な事情をお伺いしてアドバイス致しますので、ぜひお早めに弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
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