スーパー銭湯の女湯に隠しカメラをしかけ逮捕

2020-04-08

スーパー銭湯の女湯に隠しカメラをしかけ逮捕

今回は、スーパー銭湯の女湯を隠しカメラで盗撮してしまった場合における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~
Aさんは深夜、福岡県内のスーパー銭湯に忍び込み、女湯の浴室に隠しカメラを設置しました。
翌日にスーパー銭湯が営業を始めた頃、女性客から従業員に対し「カメラが設置されている」とのクレームが入ったので、従業員は福岡県警に通報しました。
スーパー銭湯の監視カメラに写っていた人物や、その人物が乗ってきた車のナンバーを確認したところ、Aさんが被疑者として浮上しました。
後日、Aさんは福岡県迷惑行為防止条例違反及び建造物侵入の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~Aさんに成立する犯罪は?~

Aさんには福岡県迷惑行為防止条例違反及び建造物侵入罪が成立する可能性が高いと思われます。
それぞれ解説していきます。

【福岡県迷惑行為防止条例違反】
スーパー銭湯の女湯に隠しカメラを設置、ないしは利用者を撮影した点について、福岡県迷惑行為防止条例違反となる可能性が高いと思われます。

福岡県迷惑行為防止条例第6条3項1号及び2号は、
何人も、正当な理由がないのに、第一項に規定する方法(人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法)で、
①公衆便所、公衆浴場、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人の姿態をのぞき見し、又は写真機等を用いて撮影すること、及び、②前号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること
を禁止しています。

Aさんが侵入したスーパー銭湯の女湯は明らかに上記「公衆浴場」に該当します。
このような場所で、利用者(浴場の利用者は衣服の全部又は一部を着けていないでしょう)を撮影すれば、上記に違反することになります。
さらに②によれば、上記のような場所で、利用者を撮影する目的でカメラをしかける行為自体も禁止されています。
したがって仮に利用者がカメラに写っていなかったとしても、やはり福岡県迷惑行為防止条例違反ということになります。

上記行為を行い、有罪が確定すると、盗撮の常習者6か月以下の懲役または50万円以下の罰金に、前科があるなど常習者と扱われれば1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。

【建造物侵入罪】
この犯罪は、正当な理由がないのに、人の看守(管理)する建造物に侵入する犯罪です(刑法第130条前段)。

スーパー銭湯は「人の看守する建造物」に該当するでしょう。
「侵入」とは、管理権者の意思に反する立入りを意味します。
スーパー銭湯の管理者は、女湯を盗撮する目的で、深夜にスーパー銭湯の建物に立ち入ることを容認していないので、「侵入」に該当するでしょう。
仮に客として料金を払って立ち入った場合でも、盗撮用のカメラを設置する目的で立ち入ることは管理者としては容認していないと言えるので、やはり「侵入」に該当するでしょう。

したがってAさんの行為には建造物侵入罪が成立する可能性が極めて高いと思われます。
建造物侵入罪で有罪が確定すると、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処せられます。

~Aさんはどうするべきか?~

逮捕されると、その後の勾留と呼ばれる期間も合わせて、裁判が始まる前の捜査段階だけでも最長23日間もの身体拘束を受けます。
今回の事件は、スーパー銭湯に侵入しているという点で、街中での盗撮事件よりも悪質といえますし、また、余罪の存在も疑われることになるでしょう。
したがって、適切な弁護活動を行わなければ、法律上可能な最長の期間の身体拘束がされる可能性が十分あります。

また、被害者(隠しカメラに写ってしまった人や、スーパー銭湯の管理者)とも示談を行い、生じさせた損害を賠償する必要もあります。

しかし、勾留を阻止して早期釈放を目指したり、示談をするためにはどうしたらよいか、わからないことだらけだと思いますので、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が女湯を盗撮した疑いで逮捕されてしまいお困りの方は、ぜひご相談ください。

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