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【事例解説】風俗嬢を盗撮目的でスマホを設置

2022-07-15

【事例解説】風俗嬢を盗撮目的でスマホを設置

風俗嬢とのプレイ中の様子を撮影するためスマホを録画状態で設置したケースの刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

【事例紹介】

「名古屋の栄にあるラブホテルにデリヘル嬢Vさんを呼んだAさんは、Vさんとのプレイの様子を盗撮しようと思いつきました。
Aさんは、胸ポケットにスマートフォンを録画状態のまま入れたシャツをハンガーに架けて、カメラがベッドの方向に向くように設置しました。
不審に思ったVさんが部屋の様子を見回してみると、不自然な向きでシャツがハンガーに架けられていることに気が付いたので、すぐに店の責任者に連絡しました。
駆け付けた責任者に事情を聞かれたAさんは、『盗撮をしようとしたけれども実際にVさんの裸は撮影していない』と言いましたが、責任者からは全く話を聞いてもらえませんでした。
困ったAさんは、とりあえず連絡先を責任者と交換して後日話し合いをすることになりました。」
(この事例はフィクションです)

【実際に撮影していなくても犯罪になる?】

Aさんが風俗店の責任者に行った「盗撮しようとしたけれども実際に盗撮はしていない」という弁明は通るのでしょうか。

盗撮行為は各都道府県が定める迷惑行為防止条例によって規制されています。

Aさんはラブホテルの一室で盗撮行為を行おうとしましたが、このようなラブホテルの一室は、事例で取り上げた愛知県が定める迷惑行為防止条例では、同条例2条の2第3項によって規定されている「人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」に当たることになるでしょう。

そして同項は、そのような「人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」において人の姿態を「のぞき見」る行為や「撮影する」行為を禁止していますが(同項1号)、それに加えて、のぞき見や撮影する目的で写真機等を「設置する」行為や「人の姿態に向ける」行為についても禁止しています(同項2号)。

そのため、ラブホテルの一室で性的なサービスを提供しているVさんの様子を実際には撮影していなくても、カメラ機能が備わっているスマホという撮影機器を録画状態にしてワイシャツのポケットにいれてVさんがプレイするベッドに向けて置いておくという行為は、愛知県迷惑行為防止条例2条の2第3項2号が禁止する撮影目的で写真機等を設置する行為に当たることになると考えられます。

従って、Aさんは愛知県迷惑行為防止条例2条の2第3項2号違反となりますので、仮に起訴されて有罪となった場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されることになります(同条例15条1項)。

【デリヘルの盗撮関係でトラブルを起こしたら】

事例のようにデリヘル嬢を盗撮しようとスマホを録画状態で設置した、あるいは実際に盗撮したことが店側に発覚して、店側と話合いをすることになっているという方は、まずは弁護士にご相談されるのが良いでしょう。

こうしたケースでは、店側から慰謝料などの名目で金銭の支払いを請求されることが予想されますが、これは店側から示談交渉を求められているものと考えることが出来ます。
このような店側との示談交渉にあたっては弁護士に依頼されることをお勧めします。

弁護士示談交渉を依頼するメリットとしては、支払う金額や示談の条件などについて店側としっかりと交渉することが出来ることが期待できますし、また、締結した示談について、後で反故にされてトラブルを蒸し返されることのないように、正式に有効な物として扱うことが出来るような示談交渉を行うことが出来るでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
風俗店において盗撮関係のトラブルを起こしてしまいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談下さい。

【事例解説】駅構内の盗撮で逮捕

2022-07-04

【事例解説】駅構内の盗撮で逮捕

駅構内のエレベーターにおける盗撮により、東京都迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例紹介】

「東京都に住むAさんは、通勤時に使用している東京駅にある上りエレベーターにおいて、自分の前にいたVさんのスカートの中を盗撮するために、録画モードにした自分のスマートフォンをVさんのスカートの中に差し入れました。
盗撮行為が完了後、その場を移動しようとしたところ、突然見回りをしていた鉄道警察隊の警察官に取り囲まれて、その場で東京都迷惑行為防止条例違反の疑いで現行犯逮捕されました。
Aさんの帰りを自宅で待っていたAさんの妻であるBさんは、その日の夜に、警察より「Aさんを今日の朝に逮捕したので、しばらくは家に帰れない。明日は検察に行く予定。」との連絡をもらい、Aさんがどういう状況であるのかが全く分からず不安な気持ちでいました。
(この事例はフィクションです)

【事件を検察に送致するとは?】

駅構内という「公共の場所」において、「人の通常衣服で隠されている下着」であるスカートの中の様子をスマートフォンで盗撮する行為は、東京都迷惑行為防止条例5条1項2号ロに違反する行為です。
そのため、Aさんが、東京都迷惑行為防止条例5条1項2号ロに違反したことを理由に起訴された場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されることになります(同条例8条2項1号)。

事例ではBさんは、警察からAさんを逮捕したことや、次の日には検察に行くことを説明されました。

この「検察に行く」というのは、Aさんが起こした盗撮事件検察官送致するということを意味していると考えられます。

逮捕したAさんの身柄を警察が無制限に拘束しておくことはできませんので、警察はAさんの身柄を拘束しておく必要があると判断した場合は、逮捕してから48時間以内に検察に事件を送致しなければなりません。
そして、事件を警察から検察送致する際には、逮捕後に作成した調書や証拠となる物と一緒に、逮捕したAさんも検察に送る必要がありますので、事件を送致するとなった場合には、一度警察から検察へと移動することになります。
事件の送致を受けた検察官はAさんに対して弁解の機会を与えて、Aさんの弁解内容を聞きます。

Aさんの弁解を聴いた後で、検察官も引き続きAさんの身柄を拘束しておく必要があると判断した場合は、Aさんの身柄を受け取ってから24時間以内に裁判官に対して勾留請求をすることになります。
勾留請求を受けた裁判官は、Aさんと直接面談する勾留質問を行い、この結果、勾留の要件を満たすと判断した場合は、勾留が決まることになります。

事件を検察送致してから裁判官の勾留質問までは1日で一気に行ってしまうことが比較的多いです。
そのため、「明日検察に行く」と説明された場合、その日のAさんのスケジュールは、朝に警察を出発して管轄の検察庁まで行った後、裁判所に向かうことになり、勾留質問を終えた夕方ごろに再び警察に戻ってくるという場合が多いと考えられます。

【ご家族の逮捕の連絡を受けたら】

警察からの連絡などをきっかけに、ご家族の方の誰かが逮捕されたということを知った場合は、いち早く弁護士に初回接見に行ってもらうことを依頼されることをお勧めします。
弁護士の初回接見は土日祝日を問わず自由に行うことができますし、また、留置されている警察署だけではなく、検察庁や裁判所でも行うことができます。
検察に事件が送致される前に弁護士が事件に介入することができれば、勾留請求勾留決定を回避する活動をとることが可能となります。

勾留が決まってしまうと、基本的には勾留請求をした日から10日間身柄が拘束されることになりますし、やむを得ない事由がある場合には最長で更に10日間勾留期間が延長される場合があります。
このようにひと月弱の期間にわたって身柄が拘束されてしまうと、仕事や学校生活などに大きな影響が出る可能性が高いです。
こうした長期の身柄拘束を回避するためには、いち早く弁護士に事件に介入させることが重要になりますので、ご家族の方が逮捕されたことを知ったら、真っ先に弁護士に相談されるのが良いでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です
突然、警察から盗撮でご家族の方を逮捕したと連絡をうけてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】自宅トイレで知人を盗撮して逮捕

2022-04-29

【報道解説】自宅トイレで知人を盗撮して逮捕

トイレなど、通常人が衣服を身に着けない場所を盗撮することによる刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「自宅のトイレなどに小型カメラを設置し知人の女性を盗撮したとして、京都市内の男子大学生が京都府迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されました。
逮捕されたのは京都市左京区の22歳の大学生の男です。
調べによりますと、男は去年3月から12月にかけて、自宅のトイレや洗面所に小型カメラを設置し、知り合いの女子大学生3人の下半身などを盗撮した疑いがもたれています。
男は歯磨き粉のチューブや植木鉢の中などにカメラを仕込み、盗撮した動画をツィッターに投稿していたということです。
男のパソコンやスマートフォンからは20人以上の女性の盗撮動画がおよそ400本見つかっていて、調べに対し男は『性的な欲求を満たすためと動画を売ったらお金になると思った』などと話しているということです。」
(令和4年4月12日にKBS京都より配信された報道より引用)

【報道解説】

京都府迷惑行為等防止条例では盗撮行為を禁止していますが、令和2年1月18日より、着衣の全部又は一部を着けない状態の人に対する盗撮行為について、条例が一部改正されました。

改正前は「公衆便所、公衆浴場、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」(改正前京都府迷惑行為等防止条例第3条3項)と、「公衆」が立ち入る場所における、着衣の全部又は一部を着けない状態の人に対する盗撮行為について禁止していました。
これに対して、現行の京都府迷惑行為等防止条例第3条3項は、そのような「公衆」の存在を前提とせずに、「住居、宿泊の用に供する施設の客室、更衣室、便所、浴場その他人が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」での着衣の全部又は一部を着けない状態にある人の姿態を、著しく羞恥させ、又は不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法での盗撮行為を禁止し、盗撮行為が禁止される場所を拡大しました。

報道によれば、今回逮捕された男性が盗撮した場所は男性の自宅トイレや洗面所とのことですので、京都府迷惑行為等防止条例第3条3項1号違反として逮捕されたと考えられます。

ちなみに、京都府迷惑行為等防止条例第3条3項1号違反に違反すると、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されることになり(同条例第10条2項)、常習として違反した場合は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されることになります(同条例第10条4項)。

なお、引用元の報道では盗撮した動画をツイッターに投稿してきたとありますが、このような行為は、わいせつ物頒布等罪(刑法175条1項)に当たる可能性があります。
わいせつ電磁的記録頒布罪が成立する場合、2年以下の懲役または250万円以下の罰金もしくは科料が科されるか、または懲役と罰金の両方が科されることになります。

【同様の盗撮ケース】

ここ数年、着衣の全部又は一部を着けない状態の人に対する盗撮行為が禁止される場所を拡大するため、迷惑行為等防止条例を改正した自治体が多いです。
改正によって、今回取り上げた報道と同様に自宅のトイレでの盗撮行為により逮捕・検挙されたケースが他の県でもありましたのでご紹介します。

1つ目は、兵庫県で自宅のトイレで知人女性を盗撮したとして逮捕されたケースです。
「自宅トイレに小型カメラ7台を仕掛けて女性を盗撮したとして、兵庫県警生活安全特別捜査隊と神戸西署は11日、県迷惑防止条例違反の疑いで神戸市西区の大学2年の男(27)を逮捕した。
逮捕容疑は昨年2月10日午後6時半から同9時半ごろまでと、同月18日午後4時から同7時半ごろまでの間、自宅のトイレに小型カメラ7台を設置し、知人の女性=当時(26)=を盗撮した疑い。容疑を認めているという。」
(令和3年10月11日に神戸新聞で配信された報道より引用)

兵庫県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第3条の2第3項は、平成28年に新しく追加された条文です。
同項は、「何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。」とし、これに違反すると、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されることになります(同条例15条1項)。
改正によって、自分の家のトイレにおける盗撮行為を規制することが可能となり、紹介した兵庫県のケースも同条例第3条の2第3項違反の疑いで逮捕されたと考えられます。

2つ目は、香川県で自宅のトイレで知人女性を盗撮して書類送検されたケースです。
「自宅のトイレなどで知人女性を盗撮したとして、香川県警は21日、県警本部に勤務する30歳代の男性巡査長を県迷惑行為防止条例違反容疑で書類送検し、停職3か月の懲戒処分とした。巡査長は同日付で依願退職した。
発表では、巡査長は昨年8月~今年5月、自宅のトイレや脱衣所に小型カメラを設置し、5回にわたり、30、40歳代の知人女性2人の動画を撮影した疑い。県警の調べに「女性の下着姿を見たいという欲求が抑えられなかった」と話しているという。
巡査長が必要以上にトイレやシャワーを勧めてくることを不審に思った30歳代の女性が5月、警察署に相談して発覚したという。」
(令和3年7月21日に読売新聞オンラインで配信された報道より引用)

香川県においても、令和2年に迷惑行為等防止条例が改正される前までは、公衆の存在を前提とした場所における衣服の全部又は一部を着けない状態でいる人に対する盗撮行為を規制対象にしていたため、自宅のトイレや脱衣所での盗撮行為は規制の対象外という状況でした。
こうした中で、令和2年の改正により追加された香川県迷惑行為等防止条例第3条3項は、「浴場、便所、更衣室その他の人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所における当該状態にある人の姿態」の盗撮行為を禁止することで、自宅のトイレや脱衣所における盗撮行為を規制対象とすることが可能になりました。
これに違反すると、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられることになります(同条例第12条1項)。
紹介した香川県のケースも、この香川県迷惑行為等防止条例第3条3項違反の疑いで書類送検されたと考えられます。

【盗撮の場合の刑事弁護活動】

盗撮事件の場合の刑事弁護活動としては、被害者の方との示談が重要になってくるでしょう。
弁護士に依頼して、被害者の方に対して謝罪の意思を示すことで示談を締結することが可能となれば、検察官による起訴を回避することも十分に考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、盗撮行為の被害者の方に対する示談交渉の経験が豊富な弁護士が在籍しております。
盗撮行為をしてしまってお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

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