デリヘル盗撮事件で弁護士が示談交渉
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デリヘル盗撮事件で弁護士が示談交渉
デリヘル盗撮の刑罰や示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
大阪府堺市在住のAさん(40代男性)は、堺市内のホテルにデリヘルを呼んだ際に、デリヘル嬢Vさんを、ひそかにホテルの室内に設置していた隠しカメラで録画盗撮した。
Vさんは、Aさんの仕掛けた隠しカメラに気付いて、後日にデリヘル店側を通じて、「慰謝料を支払うように。応じないなら警察に被害届を出す」と、Aさんに対して示談金を要求してきた。
Aさんは弁護士に法律相談をして、弁護士が示談交渉の仲介役に入ることで、大阪府堺警察署が介入することのないような事件解決を目指すことにした。
(事実を基にしたフィクションです)
~デリヘル盗撮の刑罰とは~
盗撮事件では、一般的に「各都道府県の迷惑防止条例」「軽犯罪法」「刑法の住居侵入罪/建造物侵入罪」のいずれかによって、刑事処罰を受けます。
盗撮行為は、この中でも「各都道府県の迷惑防止条例」によって処罰されるケースが多いです。
迷惑防止条例は、各都道府県によって処罰される盗撮行為の規定が異なっており、
① 公共の場所、公共の乗物などでの盗撮行為
② 通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所での盗撮行為
③ ①以外の場所で、特定または多数人が利用する場所での盗撮行為
の3つの類型に分けて、処罰される盗撮行為が規定されていることが多いです。
大阪府の条例の規定を見てみます。
大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
第6条1項
何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
1号 省略
2号人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗物における衣服等で覆われている内側の人の身体又は下着を見、又は撮影すること。
この6条1項2号が上記①に該当します。
第6条2項
何人も、みだりに、公衆浴場、公衆便所、公衆が利用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所における当該状態にある人の姿態を撮影してはならない。
続いてこの6条2項が、上記②に該当します。
第6条3項
何人も、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、教室、事務所、タクシーその他の不特定又は多数の者が出入りし、又は利用するような場所又は乗物(公共の場所又は公共の乗物を除く。)における衣服等で覆われている内側の人の身体又は下着を見、又は撮影してはならない。
この6条3項が③に該当します。
この規定はややわかりづらいですが、次のような意味で定められています。
①の「公共の場所、公共の乗物」は、不特定かつ多数の者が利用する場所を指すと言われていることから、「教室、事務所、タクシー」など、比較的利用者が特定されていたり、少数の人が利用するような場所における盗撮が処罰しきれませんでした。
そこで、「不特定又は多数の者」という、やや守備範囲が広い規定を設けて、処罰できるようにしようとしたのです。
これらの規定に違反して盗撮行為をした場合、
盗撮の非常習者→1年以下の懲役または100万円以下の罰金
盗撮の常習者→2年以下の懲役または100万円以下の罰金
という法定刑の範囲で、刑事処罰を受けます。
~ホテル内盗撮は条例に違反する?~
今回のようなホテルの一室での盗撮行為は、③の類型の「不特定又は多数の者が出入りし、又は利用するような場所又は乗物における盗撮行為」(6条3項)に当たる可能性が高いでしょう。
また、他の都道府県では、大阪府の条例の6条2項と違って、「公衆が利用することができる」といった文言が無い場合もあります。
そのような都道府県の条例では、「ホテルの一室」や「風俗店」での盗撮行為も、迷惑防止条例違反に当たることとなります。
③の類型に該当する規定がない都道府県においては、軽犯罪法違反や住居侵入罪/建造物侵入罪に当たるかどうかが検討されることになります。
~弁護士にご相談を~
デリヘル盗撮事件で刑事弁護の依頼を受けた弁護士は、その盗撮行為がどのような刑事処罰を受けるおそれがあるかを検討し、刑事事件に発展することがないように、被害者や風俗店側との示談交渉を弁護士が仲介することで、被害届が出される前に事件解決することを目指します。
また、既に被害届が提出されてしまって、警察の捜査が始まったようなケースであっても、弁護士が仲介して被害者側との示談交渉を行うことで、被害者の処罰感情を抑えるような円満な示談成立となれば、その後の刑事処罰が軽くなったり、不起訴処分の可能性が高まることが期待されます。
デリヘル盗撮事件などでお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。