【報道解説】盗撮して被害者に傷害を負わせて逮捕

2022-11-02

【報道解説】盗撮して被害者に傷害を負わせて逮捕

商業施設内で女性のスカートの中を盗撮をしたうえ、被害者の方に傷害を負わせた刑事事件例の刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「千葉中央署は、千葉県迷惑防止条例違反盗撮)の疑いで千葉市中央区、自称無職の男(21)を逮捕した。
逮捕容疑は18日午後7時15分ごろ、同区内の商業施設の上りエスカレーターで、県内の女性会社員(25)のスカート内を背後からスマートフォンで撮影した疑い。
同署によると、被害に気付いた女性ともみ合いになり、目撃した施設の警備員が110番通報した。
女性は足首を捻挫する軽傷を負った。
『スリルや達成感を求めてやった』と容疑を認めている。」

(令和4年10月21日に千葉日報オンラインで配信された報道より引用)

【盗撮の刑事責任】

千葉県迷惑行為防止条例3条の2第1号ロでは、公共の場所において、人の通常衣服で隠されている下着を撮影機器を用いて撮影することを禁止しています。
逮捕された男性は、千葉市中央区にある商業施設という「公共の場所」において、女性のスカートの中という「人の通常衣服で隠されている下着」を、スマートフォンで撮影したとのことなので、千葉県迷惑行為防止条例3条の2第1号ロに違反して盗撮をしたと考えられます。

この規定に違反して盗撮した場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられる可能性があります(同条例13条1項)。
仮に、常習として盗撮行為をしていた場合には、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金と、より重い罰が科せられる可能性があります(同条例13条2項)。

【傷害の刑事責任】

また、今回取り上げた報道では、逮捕された男性は、盗撮に気が付いた被害者の女性と揉み合いになって、女性は足首を捻挫するという怪我を負ったとのことです。
揉み合いになった具体的状況については報道からでは明らかではありませんが、これについては刑法204条の傷害罪が成立する可能性があります。
傷害罪については、たとえ被害者の方を怪我させようというつもりが無くても、不正な目的による威力行為によって相手が傷害を負うことで成立する犯罪です。

よって、例えば、揉み合いになったときに被害者の方を小突いたりなどの暴行を加えたために怪我をしたということであれば傷害罪が成立することになると考えられます。
傷害罪の法定刑は15年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑となっています。

【盗撮事件を起こして警察の捜査を受けられている方は】

盗撮事件で警察の捜査が開始された場合、警察はスマートフォンやパソコン、ハードディスクなどを押収して、盗撮の余罪がないかについて捜査が進められることが考えられます。
押収されたスマートフォンの中から、過去の盗撮データが発見されて常習として盗撮していたと当局に判断された場合、単なる盗撮よりも罪が重くなってしまいます。
そのため、盗撮事件で警察の捜査が開始された場合には、今後の対応などについて弁護士にご相談されることをお勧めします。

また、盗撮の被害者の方との示談をお考えの方も、弁護士示談交渉を依頼されることをお勧めします。
今回取り上げた報道のように、被害者を盗撮し、さらに盗撮現場で被害者の方に怪我を負わせてしまったというケースの場合、単なる盗撮事件の場合よりも、被害者の方の処罰感情が強いことが予想されます。
このように被害者の方の処罰感情が強い場合でも、示談交渉の経験が豊富な弁護士が被害者の方と粘り強く交渉を重ねていけば、被害者の方と最終的に示談を締結することも不可能ではないでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
盗撮事件について警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

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