高校の女子トイレに盗撮カメラを設置し取調べ

2019-07-08

高校の女子トイレに盗撮カメラを設置し取調べ

~ケース~
Aさんは北海道札幌市内の公立の高等学校の教師をしています。
Aさんは、女子トイレの利用者を盗撮しようと思い、小型カメラをトイレ個室の利用者が写るように設置しました。
次の日にカメラを回収しようとすると、すでにカメラの設置が発覚し騒ぎになっているようです。
Aさんは罪悪感にかられ、みずから小型カメラを設置したことを告げました。
その結果、Aさんは同僚により北海道中央警察署に通報されてしまいました。
取調べを受けた後、Aさんは家に帰ることができましたが、今後も取調べを受ける予定です。
(フィクションです)

~Aさんに成立しうる犯罪は?~

Aさんには、①北海道迷惑行為防止条例違反の罪②建造物侵入罪が成立する可能性が高いと思われます。
以下、それぞれについて解説します。

(北海道迷惑行為防止条例違反の罪)
北海道迷惑行為防止条例第2条の2第3号は、正当な理由がないのに、「住居、浴場、便所、更衣室その他の人が衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所(以下この号及び次号において「住居等」という )における当該状態の他人の姿態を撮影し、又はこれを撮影するため写真機等を住居等における当該状態の他人に向けること」を、第4号で「住居等における前号に規定する状態の他人の姿態を撮影するため、写真機等を設置すること」を禁止しています。
正当な理由がないとは不法という程度で、禁止行為を行えば通常該当します。
Aさんが勤務する高校の女子トイレは明らかに上記「便所」に該当します。
そこで用を足すために服を脱ぐでしょうから、その状態を撮影するために小型カメラを置けば、北海道迷惑行為防止条例2条の2第4号違反になります。
上記行為につき起訴され、有罪が確定すると、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます(北海道迷惑行為防止条例第11条1項)。

(建造物侵入罪)
建造物侵入罪は、正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入する犯罪です。(刑法第130条前段)
判例によると、「侵入」とは「管理権者の意思に反する立ち入り」を意味します。
Aさんはあらかじめ盗撮カメラを用意して学校に立ち入っています。
Aさんは教師にすぎず、管理権者ではありません。
あらかじめ盗撮カメラを用意していたこと及びその他の事情により、学校へ盗撮目的で立ち入ったものと判断された場合は、通常、盗撮目的での学校への立ち入りは管理権者が容認していないと考えられるので、当該立ち入りが「侵入」に該当すると判断される可能性があります。
建造物侵入罪につき、有罪が確定すると、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処せられます。

~今後Aさんはどうなるか?~

現在、Aさんは在宅で捜査されており、逮捕されていません。
警察段階での捜査が進み、警察での捜査が熟せば、検察に事件が送検され、検察官からも取調べを受けることになります。
そして、最終的に検察官がケースの事件につき、起訴するか、あるいは不起訴にするかを判断することになります。
起訴されると、無罪判決を獲得するのは困難であり、有罪判決を受けると、前科がつくことになります。

また、Aさんは教師という公務員ですので、Aさんの勤務先から、免職を含む懲戒処分を受けることも考えられます。
Aさんの場合、懲役刑を受けると執行猶予付きであっても当然に失職します(地方公務員法28条4項・16条2号)し、起訴されるだけで休職になる可能性があります(地方公務員法28条2項2号)。
そのため、身体拘束をされていないからといって、何もせず過ごすのではなく、被害者との示談交渉など、不起訴処分の獲得に向けた活動を行っていくべきです。
まずは弁護士に相談し、取調べの対応方法、事件の解決までどう過ごしていればよいか、示談交渉はどう行うか、などの点につき、助言を受けることをおすすめします。

取調べで供述したことは、Aさんにとって有利にも、不利にもなります。
供述の内容、あるいは捜査中のAさんの行動によっては、現在在宅で捜査が進行していても、後日逮捕されてしまう可能性はゼロではありません。
弁護士とよく相談し、今後の対応策を検討しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、刑事事件に熟練した弁護士が多数在籍しており、ケースのような盗撮事件の解決実績も豊富です。
盗撮事件を起こしお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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