教室内での盗撮

2019-07-03

教室内での盗撮

臨時講師であるAさんは、福岡県田川市内にある中学校の教室内で、女性教諭のスカート内を盗撮した福岡県迷惑行為防止条例違反の疑いで福岡県田川警察署に事情を聴かれることになりました。
本件では、盗撮場所である教室が、条例で定める「公共の場所」であるか否かが問題となっているようです。
(実際にあった事例を基に作成したフィクションです。)

~ はじめに ~

上記事例は、先日、各新聞やニュースなどで取り上げられた中学校教室内における盗撮事件で、教室が「公共の場所」に当たらないと判断されて立件を見送られた、という事例を基に作成したものです。
このニュースを見て「どうして見送られたのか?」「他に処罰する法律はないのか?」「見送られた後はどうなるのか?」などと疑問を持たれた方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回は、まずは事例の基となった盗撮事件が起こった秋田県内で盗撮行為を規制する秋田県迷惑行為防止条例の規定から見ていきたいと思います。

~ 秋田県迷惑行為防止条例が規制する盗撮行為 ~

秋田県迷惑行為防止条例(以下、条例)では、条例4条で盗撮行為を規制しています。

条例4条1項 
何人も、正当な理由がないのに、公共の場所又は公共の乗物において、人の性的 羞しゆう 恥心を著しく害し、又は人に不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
1号 人の身体に、衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から接触し、又は直接接触すること。
2号 衣服等で覆われている人の下着又は身体をのぞき見し、又は撮影すること。
3号 前二号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。

条例4条2項
何人も、正当な理由がないのに、住居、浴場、更衣場、便所その他通常人が衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場合がある場所において当該状態でいる人を撮影してはならない。

今回の事例が秋田県で起きていれば、Aさんは女性教諭のスカート内を盗撮したということですから、Aさんの行為は「衣服等で覆われている人の下着を撮影した」として条例4条1項2号に当たり得るでしょう。

* 罰則について *
罰則については、条例17条1項1号で「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」とされ、さらに常習として行った場合は条例17条2項で「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処せられます。

~ 「公共の場所」とは ~

問題は、本件教室が「公共の場所」であるか否かという点です。
この点、「公共の場所」とは、道路、公園、広場、駅、空港、ふ頭、興行場、飲食席、遊技場その他の公共の場所など、有償・無償を問わず不特定多数の者が、自由に出入りし利用することができる場所とされています。
これからすると、一般的に、中学校の教室は、当該中学校の学生あるいは教職員のみが使用できる場所であって、「不特定多数の者が、自由に出入りし利用することができる場所」とは言い難いと思われます。
したがって、本件教室は「公共の場所」には当たらない(よって、秋田県の迷惑防止条例違反では処罰されない)でしょう。

* 他の県では処罰される可能性も? *
ところが、他の県では、教室内の盗撮であっても処罰される可能性があります。
例えば、今回の事例のAさんが盗撮を行った福岡県の迷惑行為防止条例では、盗撮行為を禁じる場所として「公共の場所」、「公共の乗物」以外に「その他の公衆の目に触れるような場所」を加えており、「その他の公衆の目に触れるような場所」には学校の教室も含まれると考えられるからです。

現在のところ、事例の基となった盗撮事件の起きた秋田県では同様の規定はありませんが、今回の事件を受けて同様の規定を設ける条例改正の動きが出てくるかもしれません。

~ 立件見送りとは? ~

今回の事例の基となった盗撮事件では、警察が立件を見送ったとのことでした。
立件を見送ったということは、今後、警察官の取調べを受けることはなくなるでしょうし、事件が検察庁へ送致されることもありません。
したがって、起訴、不起訴の刑事処分を受けたり、裁判を受けることもありません。
もちろん、前科はつきませんが、前歴としては残るでしょう。

犯罪の成否やその後の処分等は、なかなか一般の方だけでは分かりにくく、面倒なことが多いです。
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