公園で女児を盗撮して逮捕

2020-04-28

公園で女児を盗撮して逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

【事例】

埼玉県入間市に住む小学校教諭のAさん。
同市内の公園に行き、遊んでいた小学生や幼稚園児の女の子の下着やお尻を盗撮しました。
子供の保護者が盗撮するAさんに気が付き、警察に通報。
埼玉県狭山警察署の警察官が現場を訪れ、Aさんに対し、
「女の子を盗撮しているのではないかという通報がありました。カメラを見せていただけないでしょうか」と尋ねました。
もう逃げられないと観念したAさん。
警察官にカメラを見せたところ、盗撮動画が残っていたことから、その場で現行犯逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~迷惑防止条例違反~

小学校の教師が公園で女児に盗撮をした今回の事例。
場所こそ違いますが、実際にほとんど同じような事件が発生しています。
明るみに出れば、実名報道されたり懲戒免職処分になることも予想されます。

そして犯罪者として処罰されることも予想されます。
このような盗撮をした場合、まずは各都道府県が制定する迷惑防止条例違反に問われることが考えられるでしょう。
埼玉県の条例を見てみます。

※例として埼玉県迷惑防止条例

公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
第2条
4 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人に対し、身体に直接若しくは衣服の上から触れ、衣服で隠されている下着等を無断で撮影する等人を著しく羞しゆう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。

Aさんは公園という「公共の場所」において、「衣服で隠されている下着等」を撮影しているので、迷惑防止条例違反となるわけです。

罰則は、盗撮の非常習者の場合は6月以下の懲役または50万円以下の罰金です。
盗撮の前科があるなど、常習者として扱われると、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となってしまいます。

~児童ポルノ禁止法違反の可能性も~

Aさんが盗撮したのは18歳未満の児童なので、撮影した内容によっては児童ポルノ禁止法違反にも問われる可能性があります。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律
第2条3項
この法律において「児童ポルノ」とは、…(中略)…、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を…(中略)…描写したものをいう。
1号・2号 省略
3号 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
第7条5項
前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様(※3年以下の懲役または300万円以下の罰金)とする。

児童ポルノを作り出すこの犯罪は、「児童ポルノ製造」と呼ばれています。
たとえば女児のトイレ中の様子を撮影したような場合には、2条3項3号に該当する児童の姿態をひそかに写真等に描写して児童ポルノを製造したものとして、この罪に問われる可能性があるわけです。

罰則は3年以下の懲役または300万円以下の罰金ですから、18歳以上の者を盗撮して条例違反のみに問われた場合よりも重く罰せられる可能性があります。

~示談で判決・処分が軽くなる可能性も~

一般に、犯罪の被害者に対し謝罪・賠償をして示談を結ぶと、判決が軽くなったり、不起訴処分になったりする可能性を上げることができます。
不起訴処分とは「今回は大目に見る」ということで、刑事裁判にかけられず、前科もつかずに刑事手続きが終了となる処分をいいます。

しかし盗撮事件では、加害者側が被害者側の連絡先を知らないことも多く、捜査機関を通じて連絡先を教えてもらう必要が出てきます。
ところが性犯罪の被害者側は、加害者側に連絡先を教えることに抵抗があります。
当然、教えてくれないこともありますし、教えてくれるとしても加害者の弁護士にだけ連絡先を教え、その弁護士は加害者自身には連絡先を伝えず、弁護士が加害者の代わりに示談交渉をするという形をとる必要があることも多いです。

そして今回のような事例では被害を受けた児童の親と交渉して示談交渉を進めることになります。
親は、自分の子供が盗撮被害に遭っているわけですから、スムーズに交渉が進むとは限りません。

お金を用意できても、必ずしも簡単に示談ができるとは言い切れないわけです。

~弁護士にご相談を~

あなたやご家族が盗撮などの犯罪をしてしまいお困りの際はぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。
上述のように、弁護士を入れることによって示談ができる可能性を上げることができたり、今後の刑事手続きや処分・判決の見通しなどのアドバイスを受けることができます。

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