盗撮で勾留前に釈放

2021-12-14

盗撮で勾留前に釈放について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

横浜市内に住むAさんは、JRの駅構内で盗撮したとして警察官に逮捕されてしまいました。Aさんは、逮捕後、警察署内の留置場へ収容されましたが、検察庁へ送致される前に釈放されました。自宅へ帰ったAさんは妻と相談した結果、刑事事件専門の弁護士へ示談交渉を依頼しました。
(フィクションです。)

~勾留前に釈放されることがある~

逮捕されても勾留される前に釈放されることがあることをご存知でしょうか?

逮捕後は、警察→検察→裁判所と身柄を移され(寝泊まりは、通常、警察署の留置場内)、それぞれで身柄の拘束が必要か否か判断されます。これは法律が、身柄拘束は、拘束された方にとって人生の一大事だから、それぞれできちんと判断しなさいと義務付けているのです。もちろん、警察で釈放されれば、検察→裁判所へと手続が進むことはなくなりますし、検察で釈放されれば、裁判所での手続を受ける必要はなくなります。

~勾留前に釈放されるためには?~

しかし、身柄拘束が必要かどうかチェックする機関は実際に身柄を拘束する警察や検察(捜査機関)であり、裁判所も全ての事情を酌んできちんと判断してくれるか分かりません。そこで、警察、検察、裁判所に釈放を促す働きかけを行う必要があります。具体的には、警察には検察に送致しないよう、検察には勾留請求しないよう、裁判所には勾留決定を出さないよう意見書を提出するなどの方法が考えられます。こうした活動は弁護士に任せた方が無難ですから、逮捕の連絡を受け、一刻も早い釈放をお望みの場合は早めに弁護士に弁護活動を依頼しましょう。
なお、勾留前に意見書などを提出する活動は、法的に認められた活動ではありません。あくまで、身柄を釈放するか否かは、警察、検察、裁判所の判断によるもので、意見書を無視することもできないわけではありません。しかし、意見書などを提出することによって、仮に勾留された場合「不服申し立てをしますからね。」という意思表示にもなり、捜査機関等に一定の抑止を働かせていることは間違いありません。

~身柄拘束を継続するか否かの基準~

捜査機関や裁判所が、身柄拘束を継続するか否かの判断基準は、「逮捕や勾留の要件」を満たしているかどうかにかかっているといえます。

逮捕の要件は、「逮捕の理由(罪を犯したと疑うに足りる相当な理由)」に加え、刑事訴訟法規則143条の3で、

逮捕状の請求を受けた裁判官は、逮捕の理由があると認める場合においても、被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情に照らし、被疑者に逃亡する虞がなく、かる、罪証隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、逮捕状の請求を却下しなければならない

と「逮捕の必要」に関し規定していることから、「被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情に照らし、被疑者に逃亡する虞がなく、かる、罪証隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がないと認めるとき」は、釈放されるということになります。

勾留の要件は「勾留の理由」と「勾留の必要」から成ります。「勾留の理由」とは、

・被疑者が罪を犯したを疑うに足りる相当の理由があること
に加え
・住居不定
・罪証隠滅のおそれ
・逃亡のおそれ

のいずれかの事由に当てはまることをいいます。 「勾留の必要」とは、

事案の軽重、難易、捜査の進展状況、被疑者の年齢や健康状態など、全ての事情を総合的に判断して、勾留が相当であるといえる場合のこと

をいい、勾留することによる利益と勾留を受ける被疑者の被る不利益を比較衡量して判断されます。
これらのいずれかの要件が満たされないときは、釈放されるということになります。

釈放されててもそれで事件が終わりというわけではありません。また、国選で弁護士が付くわけでもありません。被害者への弁償、示談、不起訴処分の獲得を目指して弁護士を付けたいという方は「私選」の弁護士を選任する必要があります。

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