職場における盗撮行為

2019-12-20

職場における盗撮行為

職場における盗撮行為について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

Aさんは、神戸市中央区にある会社に勤務する会社員です。
ある日、Aさんが同僚のVさんに交際を申し込んだところ、これを拒絶されたことに対する報復として、AさんはVさんの盗撮画像を社内SNSにアップすることを企図しました。
AさんはVさんのスカート内を盗撮するために、Vさんのデスク下に盗撮カメラをしかけたのですが、カメラに気付かれてしまい、上司に相談されてしまいました。
上司がオフィス内の監視カメラを確認すると、Aさんが盗撮カメラを設置している様子が写っていたので、Aさんは社内で事情を聞かれました。
Vさんは精神的にショックを受け、しばらく休職することになりました。
Aさんは、Vさんが兵庫県神戸水上警察署に被害届を出すことを検討してるようだと聞いています。
(フィクションです)

~Aさんに成立する犯罪~

今回のAさんの場合、兵庫県の定める迷惑行為防止条例違反の罪が成立する可能性が高いと思われます。
兵庫県の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第3条の2の第2項は、次のように規定しています。

第3条の2 第2項
何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
(2) 前項第2号に掲げる行為
※注「前項第2号に掲げる行為」とは、第3条の2の第1項第2号の「正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為」を指します。

Aさんの会社の事務所にどれだけ人が出入りできるかによりますが、人の出入りが比較的自由であれば、「不特定又は多数の者が利用するような場所」に該当するでしょう。
このような場所で、Vさんのスカート内を盗撮した場合には、上記規定に違反することになると思われます。

また、上記規定は、撮影する行為だけでなく、撮影の前段行為ともいえる、盗撮目的で写真機その他の機器を差し向ける行為も禁止しています。
したがって、写真が撮影されていなくても、AさんがVのデスク下に盗撮カメラを設置した時点で、兵庫県の迷惑防止条例違反の罪が成立する可能性も考えられます。

また、Aさんが盗撮画像を社内SNSにアップした場合、別途、名誉毀損罪などの犯罪が成立する可能性があります。

~Aさんはどうするべきか?~

上記に検討した通り、Aさんの行為は兵庫県の迷惑防止条例違反などの犯罪に当たることになります。
ということは、上記事例でもあるように、Vさんに被害届を出されるなどした場合、警察による捜査が開始され、被疑者になってしまう可能性がある、ということです。
今回の事件でいきなり逮捕されてしまう可能性は比較的低いと思われますが、在宅で事件が進行する場合も、逮捕されてしまう場合であっても、善後策をとるに越したことはありません。
善後策としては、Vさんと示談し、謝罪と賠償を行うことが重要です。

示談交渉に先立ち、まず、弁護士と相談することをおすすめします。
Aさん自身でも示談交渉を行うことはできますが、①法律上有効でない示談を行ってしまうリスクがあること、②不当に高額な示談金を支払ってしまうリスクがあること、③そもそも交渉に応じてくれないリスクがあること、④罪証隠滅行為と評価され逮捕されるリスクを高めてしまうことから、自身で示談交渉を行うことはおすすめできません。

そこで、第三者であり、かつ、法律の専門家である弁護士をAさんとVさんの間に入れることにより、上記のリスクを減らすことができます。
示談交渉では、「今後Vさんには一切近づかないようにする」などの譲歩が必要になりますが、交渉次第では、示談書に「Aさんの刑事処分を望まない」、「被害届の提出や告訴はしない」旨の条項を入れてもらえることもあります。

捜査機関が事件を把握する前に示談がまとまれば、刑事事件化するリスクを減らすことができます。
また、会社との関係でも、被害者本人との間で問題が解決したとして、重大な処分が回避される可能性も考えられます。
刑事事件化する前の段階であれば、示談を通じ、有利に問題を解決することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。
盗撮を行ってしまい、お悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

Copyright(c) 2021 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 All Rights Reserved.